ガエル記

散策

『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』18

60話まで鑑賞。

錯綜しております。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

ひたすらバカ皇帝を描くドラマになっていくようです。

しかしならばなぜヒロイン・如懿が信じ愛し続ける相手として成り立つのかわからなくなっていく。

もっと老人ならば仕方ないかもですが今まさに壮年期というところでもうすでにこれ。

とはいえ『源氏物語光源氏もキラキラしてたのはごく若い頃だけ言えば須磨に行く前の朧月夜のエピソードまでで後はどんどんじじむさくなっていくわけでこうした物語の男役はそうした運命かもしれない。

 

それでいえば舒妃はほんとうに純粋な女性だったのだなと思われます。

皇帝に憧れ恋し縁故関係の皇太后を通じて輿入れし皇帝もその美貌と詩の才能を認め愛したにもかかわらず皇太后の手先なのではないかという疑念を抱いて不妊薬を飲ませ続けた。皇子の病弱はその薬のせいもあるはずなのに皇帝は「星占い」なんぞを理由にして遠ざけ舒妃の母性を犠牲にした。皇子の死後に舒妃の愛情を確信してもう一度やり直そうとか皇帝が死ねばいいのにとしか思えません。

舒妃は炩妃から事の次第を聞くまでは皇帝を信じ切っていました。

そしてあれほど詩の世界で結ばれ愛し信頼してきた皇帝が単純に自分を疑い子どもまで作らぬよう疎んじていただけだったと絶望し自死を選ぶ。

 

一方、舒妃の真逆のような女性炩妃の才能の無さにうんざりしていた皇帝がひたすら自分を慕い持ち上げ続けてくれることに喜びを見出してしまう。

自分は冷静沈着な男だと思い込んでいるけれどかなり軽薄だということに気づいていない。

 

今回面白かったのは何といっても上の画像にある新しくやってきた側室たち。

蒙古族なので乗馬や弓が得意で天真爛漫豪放磊落というキャラクター設定。寵愛を受けることに対してもあっけらかんと開放的。愉快です。

 

嘉妃の息子・第四皇子はその才能ゆえに皇帝から最も愛されていましたがここにきて愛されすぎが裏目に出てしまう。

皇帝、自分が贔屓していたくせに「下心があって贔屓させた」と逆恨み。ほんともうなんだこいつ。

着々と息子を皇太子にと目指してきた嘉妃は突然の皇帝の心変わりにおかしくなってしまい犬を何匹も飼い始める。

その鳴き声に怯え如懿の娘は具合が悪くなってしまった。

 

犬好きさんたちとしては納得できませんよね。この描写。

多頭飼いは難しいでしょうがきちんとした訓練や飼い方があるはず。

一方、皇太后の猫ちゃんは福々としてかわいらしい。

 

しかし後宮というのもいろいろな楽しみ方ができるはずとは思いますね。

例えばマンガやアニメ好きの皇帝だったらそういう才能のある側室は寵愛されるのでは、と思いつきましたがよく考えたらそもそもアラビアンナイトでシエラザードがすでにやってましたわ。

結局物語の面白さが一番人の心をつかんでしまうのでは?と本気で思います。もちろんそれも才能の枯渇で飽きられるわけですがw

『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』17

56話まで鑑賞。

皆で狩場に。やはり広々とした風景は映像であっても心地良いですw

乗馬姿はかっこいい。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

皇帝は疲労がたまりあまりの倦怠感に耐えかねているところ鹿血酒の存在を知り且つ衛嬿婉が作っていると宦官・進忠の勧めを受ける。

鹿血酒は効き目が強すぎ体を損なうと如懿は皇帝を心配して跪くが気を失って倒れてしまう。

が、これがきっかけで如懿の妊娠がわかり皇帝は心を入れ替えることができた。

如懿は余計な嫉妬を買わぬよう「お腹の子どもは娘のようだ」という芝居を打つ。

結果生まれたのは男子で第十二皇子となった。

とはいえ第十二皇子は嫡子なのだ。皇帝の喜びはひとしおだった。

 

皇太子の座を狙って兄弟が争うことは極端に嫌うのにこぞって父親を守ることは期待し守り損ねた息子には冷淡極まりない皇帝。なんなのこいつ。

 

とはいえ虎視眈々と皇太子の座を狙う嘉妃とその息子、そして賢く「能ある鷹は爪を隠す」が常に嘉妃の息子の側にいよと助言する如懿&海蘭に対して人柄は良いが知恵の足りない純妃とその息子はやはり似ていて頼りない。

 

狩場では皇帝が何者かに襲われそこに駆け付けた凌雲徹によって助けられる。

凌雲徹はその褒章として紫禁城で皇帝の一等侍衛として任じられるが望んでいない結婚をさせられる。

如懿は凌雲徹と紫禁城で再会し彼の昇格と結婚を祝った。

衛嬿婉は凌雲徹の浮かない表情を見て「まだ自分のことが好きなのだ」と思い込む。

 

ニオフル氏の娘であり皇帝の妹恒娖が嫁ぐジュンガル部で内乱が起こる。恒娖の夫が殺害されたのだ。

皇帝は恒娖をそのままジュンガル部にとどめ新しい王の妻にと決意する。母親であるニオフル氏は激怒する。

 

星占いを気にして病弱な第十皇子を舒妃から取り上げ外部の者に育児させる皇帝。皇子が病になったと聞き舒妃は看病を如懿を通じて皇帝に頼む。

しかし皇子は亡くなってしまった。うつろな心で舒妃を慰める皇帝。

舒妃は嘆き悲しむ。

 

どこからどこまで気弱な皇帝である。

 

『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』16

52話まで鑑賞。

陰惨。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

結局後宮とか無理だってことですよ、と広報しているドラマなのやもしれぬな。

毛沢東万歳ですわ。

 

こんなに皆でよってたかって殺し合いしているのではたまりません。後ろ盾がなければどうしようもなく寵愛などという不確実なものを頼りにするしかない世界。どんなビジネス街よりハードな戦いを覚悟しなければならない。

 

まだ単純で面白かった前半の攻防はより複雑になる一方全体に捨て鉢でもあり厭世観が漂う。

皇帝自身がすっかり勢いを無くし愛情よりも女性にうんざりしている感がにじみ出ています。もはや皇太后から「もっと子造りを」と責められいやいややってるように見えてきました。

 

衛嬿婉はまだまだ煮え切らず物足りない。

嘉妃はもう追い詰められ以前の悪の仮面が剥がれ落ちそうだ。

そしてとうとう玫嬪は破れかぶれ状態になって死罪となる。

全体が腐りどろどろになっている様子。

やっと子供が持てた舒妃からは生まれたばかりの赤子を取り上げ会わせることもしないというこの非情さがダメなのだと皇帝にはわからない。

 

源氏物語でも明石の君から赤ん坊を取り上げ紫の上に育児させるエピソードの惨さに源氏の冷淡さを感じたけど(そこだぞおまえの人間性は)我が国の女性は文句言わないのには逆にがっくりくる。言えよ。

 

気になるのは宦官・進忠のねっとりとした悪党ぶり、いいのかあれは?いやいいけど。

 

沈鬱なパートです。

『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』15

49話途中まで鑑賞。後半に入ってきました。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

ついに如懿が皇后になりました。

皇帝にとっての初志でもあります。

如懿の念願は皇后の位ではなく共に信じあえる夫婦となること。

しかしこの願いは果たされないことはwikiでもわかります。

 

豪華絢爛な儀式が行われます。そして皇帝と皇后だけの旅行。如懿は久しぶりに実家を訪れました。

 

後宮を取り仕切る皇后は皆の前で嘉嬪を嘉妃へと昇格し事件を思い出させる紅玉髄の耳飾りを贈る。瑪瑙とは違う安価な紅玉髄の耳飾り。

耳穴に通す金属が太いのを嫌がる嘉妃に対して新しく如懿の侍女となった容珮は無理に耳飾りをつけてしまう。血を流し涙をこぼす嘉妃に容珮は「これは皇后の仕業ではなく私の行ったことです」と言い渡す。

 

容珮さん、出てきた途端に際立った活躍です。顔つきがいかにも有能です、という感じです。

 

凌雲徹、衛嬿婉の次は皇后に恋するというなんとも不運な男。

 

さて長い間子宝の薬だと皇帝に言われて不妊薬を飲まされていた舒嬪はこっそり飲むのをやめていたために妊娠する。皇太后の派閥の女性だったために皇帝はそうしていたのだが突然の妊娠に驚く。とはいえ子に罪はない、という判断でそれ以上に排除することはしなかった。

もうひとりこの事態から己の失敗に気づいたのが衛嬿婉こと炩嬪であった。

彼女はこともあろうに舒嬪が飲まされていた不妊薬を子宝の薬と信じ込んで盗み作らせ長い間服用していたのだ。

自ら不妊薬を飲んでいたと知った炩妃はこの失敗を皇后の陰謀だと逆恨みする。

皇后は「飲まない方がいい」と言っていたのに変な逆恨みだ。

 

そして腹心の医師・斉汝が皇太后と密かにつながっているのを知った皇帝は訝しむ。

その中で皇帝は妃嬪をつれての南巡へと立つ。

 

『如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』14

46話まで鑑賞。

 

ほんとうの幸福な結婚とはなにか、というお話でした。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

驚いたことに如懿の側女である惢心が拷問にあうことに。

如懿の潔白を示すために必要な処置だったと皇帝はいうのだが如懿は納得がいかない。

皇帝の言い訳は「最初に如懿を皇后にしたかったのに周囲の反対があった。今回如懿を再び皇后に推すためには周囲の疑惑があってはならない」というものだ。しかし如懿は「若い頃とは違い今の皇帝には絶対的な権力がある。なぜ惢心のような侍女を拷問にかける必要があるのか」と反問する。

 

皇帝の描写に変化がある。

皇后の死後、皇帝はすっかり面差しが痩せて髭を蓄え沈鬱な表情になってしまった。

ひとつは「女たちがちっとも思うようにならない」からでしょうな。

「女性は美しくしとやかで従順ではかなげなもの」と思いそういう女性を理想としていたに違いない男性である皇帝はそういった女性たちを従えて意のままに従わせその状況で愛してやろう的な思惑だったにちがいありません。

ところがどの女性も一人残らず反抗し謀略をめぐらすばかり。

それはどれも可愛らしい嫉妬なんてものではない、凶悪な謀だ。

他の女性を陥れ他の子どもを排除し自分だけを認めさせようとする、などということを愛する妻たちがほんとうにやってしまうなんて信じられないのでしょう。しかし一夫多妻というシステムの中でそんな謀略がないなんてことあるはずもなく。

対照的につつましく庶民の夫婦が誕生する。

拷問を受け足に酷い傷を受けた惢心を医師・江与彬は懸命に治療し求婚する。体に残った傷を悲嘆し一時は断った惢心だったが如懿に「あなたのような結婚が私の夢だった」と言われ決心をする。

皆に見守られ祝福される江与彬と惢心。惢心をずっと思っていた宦官・李玉もふたりに贈り物をして祝福するのだった。

李玉の思いやりに打たれます。宦官、というシステムもまた怖ろしい人格破壊です。

 

またもや如懿の才覚で難を乗り越えさらに嘉貴妃には貴人への降格と最強の右腕だった貞淑が母国へ追放されるという罰が与えられる。

妊娠していた嘉貴妃は死産。そして念願だった母国の王との再会は一瞬だけのものとして終わった。

ここ、若き頃思い合った仲とはいえ20歳年取って化粧も衣装もなくオデコが真っ赤に腫れた女性が追いかけてきた、ってだけしか見えてなかったってことはないのか。

王のほうから見ればかなりおかしな対面だったように思える。

 

衛嬿婉しぶとくガンバっていますがなんかもう言うことがいちいち気に障る変な悪役です。天然悪役?

 

そして第一皇子が孤独の中で死去。

見舞いにもいかず葬儀にも出なかった皇帝は胸の内を如懿に打ち明ける。

心が弱い男、それが皇帝なのです。

『如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』13

43話途中まで鑑賞

 

ひとつの大きな山場が去ってしまいました。

皇后を演じたドン・ジエはまじで正統派美人だったのでもう見れないかと思うと寂しいですね。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

皇帝からもしとやかで奥ゆかしいと評価されてきた純貴妃が皇后の死で人が変わったように出世欲に目覚めてしまう。自分は皇后にそして自らの皇子を皇太子にという野心が露わになってきたのだった。

 

そこに油を注ぎ込むのがなんと海蘭だった。

常に如懿を守ることを考える彼女は自分の息子を使って皇帝に皇子たちの争いを疑念させる。そして皇后の葬儀で第一皇子と第三皇子に「涙を見せず皇帝を支えること」が重要だと吹き込むことに成功するのだ。

肉親の争いを嫌い考を尽くすことを尊ぶ皇帝はふたりの皇子たちの態度を「冷酷だ」と罵り純貴妃の躾の至らなさをなじる。

(ってこの態度が肉親の争いではないのかと思うけど家父長制度って万事こういうふう)

心を痛める如懿はかつて自分が養母として慈しんだ第一皇子が今はすっかり心変わりしたのを目撃し悲しむ。

如懿は自分のためを思ってのこととはいえ策略を講じた海蘭を諫めた。

 

衛嬿婉が凌雲徹を誘惑して妊娠しようとするが挫折。しかしこれ成功していたとしても必ず後でばれるから。

 

そして嘉貴妃は祈祷のために紫禁城に入った安吉大師と如懿が男女の仲になっていると皇帝をそそのかす。

 

さすがに「なんだこりゃ」状態。

まあしかしこういう馬鹿々々しい噂話が波風を起こすわけですが。

しかも白装束の刺客登場。どうなりますか。

 

『如懿伝 〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』12

愉嬪・海蘭。もっとも成長し変化した女性かも。

 

39話まで鑑賞。「因果応報」中国ドラマで重要なシステムですね。

 

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

そしてこのドラマで最も重要なパートです。

 

如懿を冷宮に入れることになってから皇帝が雇い入れた毓瑚の存在が気になります。

いわば私立探偵という感じなのでしょうか。女性であるのは現在の風潮に合わせた設定と考えられるのか、それとも昔からこうした特別な才能の女性探偵が存在したのでしょうか。(中国の歴史ならばありそうにも思える)

 

ここでは皇后の最期が焦点となっています。

フチャ氏繁栄を背負って輿入れした彼女は理想の皇后であり仲睦まじい夫婦として記録されているようです。

このドラマでは皇帝の恋心が如懿にあったために皇后の嫉妬心と自尊心が歪んだ方向へと彼女を駆り立てていく設定になっています。

つまり皇帝にとっての彼女は皇后としての責務を果たしていると認めるだけの人物だった。如懿だけでなく他の妃嬪に対しても酷い虐待を行っていたことを皇帝は恐ろしく思い愛する女性とは思えないのだ。

 

皇后の瀕死の場面は壮絶な見ごたえでした。

皇后が「夫婦としての愛情が欲しかったのです」と訴えるのを「お前がしてきた悪事を黙認してきた」「皇后として敬意を払ってきた」とだけ答える皇帝は「因果応報」というがそれでは足りないとまで言い放つ。

皇帝がすべてを知っていたことを悟った皇后は「それならば私は天からあなたがたの運命を観続けます」と答える。

凄まじい応酬でした。

 

その後の皇帝と如懿のやり取りもはらはらしましたね。

如懿が冷宮からでるために自ら行ったヒ素服用は秘密であり皇帝は今も誰かの悪だくみと思っています。(もしかしたら少し疑ってはいないのだろうか)(いやしかしそれは咎めることではない気もするのだが、自分に嘘はつかないという言葉は嘘になるのが問題なのだろう)

 

そしてホルチン部への輿入れをニオフル氏の娘ではなく皇帝と皇后の一人娘に決める過程での如懿の才覚が冴え渡る。

こういうのを丁々発止というのでしょう。