ガエル記

散策

2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

諸怪志異(三)『鬼市』諸星大二郎 その2

ネタバレします。 「倀鬼」 阿鬼が幼い頃に戻ってのお話。 五行先生と旅する阿鬼。 ふたりで峠を越えようとしていると「この景陽岡には虎が出る」と忠告される。 しかし五行は「わしは虎除けの御札を持っているから」と歩み続ける。 そこに髭面の男がふたり…

諸怪志異(三)『鬼市』諸星大二郎 その1

表紙絵なんと阿鬼ちゃんです。 ものすごい美少年になってしもうた。 恥ずかしいくらい美少年なんですけどお。 ここからほぼ初読書です。 ネタバレします。 「鬼市」 こんな夜市があるのかとどきどきする一篇だ。 宋の頃、張と李というふたりの男が深夜の城外…

『国宝』上・下 吉田修一 Audible版(尾上菊之助)

映画の話題が沸騰中だが自分が鑑賞できるのはずっと先になるのでまずは原作をAudibleで聞いてみました。 ナレーターは尾上菊之助さんです。 ネタバレします。 ということで映画内容は知らない状態での小説『国宝』Audible版の今のところの感想を書いてみる。…

諸怪志異(二)『壺中天』諸星大二郎 その4

ネタバレします。 「三山図」 恐ろしい話が続く中でほっこりするお話である。 安心してお読みください。(大変は大変だが) 唐の玄宗の頃、江州の近く。 それはひとりの木こりが山の中で不思議な一群の奇岩を見つけその側に「鎮」という字が見えるきれいな珠…

諸怪志異(二)『壺中天』諸星大二郎 その3

ネタバレします。 「狗屠王」 タイトルから想像される通り「犬」への加害があるので(以前もあったけど)ダメな方にはおすすめしません。 といっても私も苦手なのでこの一話に関してはでいるだけ簡略にします。 冒頭、犬に見事な芸を仕込んでいる男が登場し…

諸怪志異(二)『壺中天』諸星大二郎 その2

ネタバレします。 「邪仙」 阿鬼が五行先生のところへきて間もない頃の話。 まだまだ五行先生の仕事がどんなことなのか、よくわかっていない幼い阿鬼にとって五行先生は時に恐ろしい存在でもあったようだ。 その日、五行先生はいつにもまして怖い顔をしてい…

諸怪志異(二)『壺中天』諸星大二郎 その1

諸星大二郎「諸怪志異」シリーズⅡ『壺中天』です。 この本には私があらゆる怪談の中で最も怖いと思って震えあがりしょっちゅう思い出してしまう一篇が入っています。 ネタバレします。 「壺中天」 「壺中天」という聞きなれない言葉を検索してみると「俗世間…

諸怪志異(一)『異界録』諸星大二郎 その4

ネタバレします。 「花仙境」 悲恋物語である。 ある富裕な主人から息子の様子がおかしくなった見てほしいという依頼を受けて訪れた五行先生と見鬼であった。 息子は呆けたようにぼんやりとしているが見鬼の目で見ても何ら妖しい者の存在はなかった。 その夜…

諸怪志異(一)『異界録』諸星大二郎 その3

ネタバレします。 唐の文宗の頃、長安に曹巌という男がいた。 謹厳実直で知られていたが万事につき頑なすぎて家族からも家人からもうとましく思われること甚だしかった。 それでも硬骨漢というので同僚の間では一目置かれているものではあった。 さてここか…

諸怪志異(一)『異界録』諸星大二郎 その2

ネタバレします。 宋代、首都開封の城外に住む五行先生とその弟子見鬼が湖南に旅をし麗池村という場所を通った。 その村は養魚池やため池が多かった。 ゆったりと歩くふたりの前に一人の青年が三人の暴漢に襲われている光景が現れた。 五行が暴漢を押しとど…

諸怪志異(一)『異界録』諸星大二郎 その1

この二週間はりつめていたので諸星大二郎の中でも特に好きな(そればかり言ってる気もするが)「諸怪志異」シリーズに参ります。 ネット検索してブログ記事を見つけたら自分でした。もともとのgooブログは消えてしまうので移行したアメブロのほうを貼ってお…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その15

ネタバレします。 第36章「約束はできない」1992-1993 1992年3月ハイスミスはチューリッヒを舞台にした小説を考えていた。 サスペンス小説にするつもりでプロットを考えていたが途中で方針を変え犯罪を端においやることにした。 『スモールg ひ…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その14

ネタバレします。 第33章「見えない最期」1986-1988 パットはスイス・アウリゲノの寒くて暗い家から移ることを考える。 サンタフェかメキシコかモンクールの元の家に戻ることも考慮したが実現しなかった。 街中に住むことは無理だった。建築家のト…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その13

ネタバレします。 第30章「扉の向こう側」1980-1982 1980年7月ハイスミスがモンクールの自宅に戻ってほどなく彼女はまたも神経衰弱症状が現れはじめる。 「憎しみや怒りに支配されていながらどうやって健康的な生活なんて送ることができるのだろう…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その12

ネタバレします。 写真28枚目。ハイスミスとモニーク・ブッフェ。 29枚目。ハイスミス。13年間フランスに住んだが次第に嫌いになっていった。 30枚目。1994年夏のハイスミス。いい笑顔だ。 第27章「若い兵士と陽気な志士」1973-1976 1973年秋、ハイ…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その11

ネタバレします。 写真25枚目。ジョナサン・ケントとハイスミス。「アラン・ドロン以来私が最も良いと思うリプリー」と語っている。 26枚目。ハイスミスがベルリンで出会った女優。タベア・ブルーメンシャイン。 27枚目。デニス・ホッパー。彼もまたリプリー…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その10

ネタバレします。 写真22枚目。1959年、映画『太陽がいっぱい』のアラン・ドロン。 ファンではないが、映画は素晴らしい。 23枚目。1999年『リプリー』マット・デイモンのリプリー。 だけどやはり『リプリー』の方が好きなのだ。 マット・デイモンがリプリー…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その9

ネタバレします。 第19章「究極の神経症」1960-1962 1960年2月ハイスミスはヨーロッパからニューヨークへ帰国し発売されたばかりの『愛しすぎた男』に対して好意的な批評を受ける。 次に彼女は季節外れのギリシャの旅から得たものを小説に取り入れ…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その8

ネタバレします。 写真17・18枚目。パトリシア。どちらも明るく楽しそう。 持論「アメリカ人はどうしようもなく真実のリアリティから外れているそれをまっとうにとらえているのはヨーロッパじんである」 19枚目。『キャロル』のモデルとなった女性。 20枚目…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その7

ネタバレします。 写真14枚目、一ページまるまる使った一枚はヴァージニア・ケント・ギャザーウッド。1946年から47年にかけてのハイスミスの恋人だった。彼女の最高の女神と呼ばれる。キャロルのモデルでもある。気品ある美しさだ。 15枚目、マーク・ブラン…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その6

ネタバレします。 写真9枚目、21歳の時のパット。確かに魅力的である。 10枚目、バーナード時代のパット、知性を感じさせる。 11枚目、ケイト・キングズレー・スケットボル。バーナード時代からの終生の友。 12枚目、ロルフ・ティートゲンス。彼女が心の底か…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その5

ネタバレします。 写真6枚目、母メアリーとパット。7枚目、メアリーとスタンリー。8枚目、ネコ型風船?を持つパット。 彼女は子供時代のことを「小さな地獄」と呼んでいたのだそうだがこの写真を見る限りそう見えない。ホームズなら見破るのか。 第9章「未知…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その4

ネタバレします。 巻頭の写真について書くのをすっかり忘れたいた。 まずはミナ・ハートマン。 ハイスミスの父方の祖母。1985年撮影。 2枚目。ハイスミスの母方の曽祖父。ギデオン・コーツ。迫力ある響きの名前だと思ったら旧約聖書に登場する指導者の名前だ…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その3

ネタバレします。 第4章「抑圧」1933ー1938 1933年。1921年生まれのパットは12歳。祖母のウィリー・メイは孫娘の保護者としてサウスジェニングス・アベニューにある中学校に入学の申請をしている。 この時期のパットは友人もできず孤独に苛まれてい…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その2

ネタバレします。 第1章「彷徨い続ける者」1921 以前 ハイスミスは「わたしは何者であり、なぜ存在するのでしょうか?」と問い続けた作家であり世界中を旅したくさんの人々と出会いながら孤独であり「わたしは永遠に探し続ける者だ」と記していたという…

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その1

書肆侃侃房 (2024/12/27) 単行本で7480円、kindleで7370円。とても手が出ず図書館で借りました。 第36章にプロローグ・エピローグ・あとがき付きの分厚い本です。期間は二週間。 ええい、一日3章ずつ読めばいいのではないかと適当な計算をして読み進めて行こ…

原作:パトリシア・ハイスミスの考察/『キャロル』トッド・ヘインズ

観た。 恋愛映画、どころか映画そのものにもしばらく離れていて昔観た映画くらいしか観れなくなっていたけど必死で観た。 よかった。 映画を観るには能力がいる。 観始め最初、いや途中までも観てこれはどうなんだろうかと思ったりもした。 つまりテレーズの…

『太公望伝』諸星大二郎

1987年11月号~1988年3月号「月刊コミックトム」 私は『無面目・太公望伝』という本を持っているのですがこちらの画像を使わせていただきました。 ネタバレします。 太公望=釣りをする人、という意味で最初に知ることも今ではかなり少なくなってきたのでは…

『無面目』諸星大二郎

1988年9月号・1989年3月号(全2回掲載) 何度も読んだ作品です。 史実を元にした諸星氏の(いつもの)自由な発想による創作ですが「こんなことがあったのかも」と思わせてしまいます。 ネタバレします。 「巫蠱の禍」をメインに置いた残虐な物語なのだが私は…

原作:パトリシア・ハイスミスの考察/『太陽がいっぱい』ルネ・クレマン

こちらも何度か観ているはずなのですが、今回パトリシア・ハイスミス考察ということで久しぶりに再鑑賞して映画作りのあまりの違いにあっけに取られているところです。 ネタバレします。 フランス映画、だからなのか、時代のせいなのか、ルネ・クレマン監督…