ガエル記

散策

小説

『デューン砂の惑星』フランク・ハーバート

持ってるのはこやつです 好きな小説を何度も繰り返して読む人間なのですが、このSFは特に何度も読み直しています。 『スターウォーズ』を観ているとイヤでも『デューン』を思い起こさせます。以前計画された映画化は頓挫し、リンチ監督の『デューン」は彼ら…

大晦日

2019年最後の夜となりました。 令和元年最後の夜です。 今年は悲しい始まりでしたが最終日は穏やかな気持ちで閉じれそうです。 観ているのはスターウォーズエピソード3『シスの復讐』です。 一年の最後の日には今年観た読んだものの一番を書きたいとこ…

100分de名著『カラマーゾフの兄弟』

www.nhk.or.jp NHK「100分de名著」今回はドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」大変おもしろい内容でした。非常に難解な長編小説、という紹介をされることが多い本書で確かにそうなのでしょうが、私はきわめてミーハー的読者としてこんなにぐいぐい読め…

『ウィンド・リバー』のコリーは『モヒカン族の最後』のホークアイ

最近にしては珍しく二度観てしまいました。 腹の底から唸り声をあげて訴えるような凄みのある映画です。この苦しみがわかるか?どうすればいいんだ?どうすれば? 何もかもが悲しくてやりきれない映画です。 怖ろしい土地に住む主人公の男と都会から来た美人…

ふたつの『シャイニング』スタンリー・キューブリックvsスティーヴン・キング

テレビでまたもや『シャイニング』を放送していたのでついつい観てしまいました。 原作と大きく志(こころざし)が違う、ということでスティーヴン・キングから嫌悪を示されたキューブリック映画です。 これも考えていたら昨日まで書いていた『レベッカ』で…

『レベッカ』のレベッカと『ツイン・ピークス』のローラ 2

昨日の続きです。違う話になりますが。 誰からも心底愛されてしまう美しい若い女性。そして溺死体で発見される、というふたつの共通項はなかなかないのでは、とは思いますがだからといって『ツイン・ピークス』が『レベッカ』のパクリとは誰も言わないでしょ…

『レベッカ』のレベッカと『ツイン・ピークス』のローラ

人生にはいろいろなきっかけがあるものです。 先日ヒッチコックを紹介する番組の中で初期の作品『レベッカ』が出てきました。これは監督の渡米第一作作品で1940年の製作となっています。 実はこれ私、何度か見ようとしたのですがもともと原作小説が大好きで…

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』アンディ・ムスキエティ

昨晩「IT」地上波放送されていたということですが、かなりカットされていて面白さが激減していたらしいですね。 というわけでもないのですが以前録画していた吹き替え版を観ています。 しかしこの映画の何がみんなを夢中にさせるのでしょうか。 テレビ放送で…

好きなもの、嫌いなもの その3

さてさてえーと次はなにから話していきましょうか。書きながら考えています。 続きます。 SFもの。 まあ、SFもの、という言い方もおかしいのですが私はとりあえずSFが大好きだとは思います。けどもこれほど「もどき」が多い「もの」もないようにも思えます。…

好きなもの、嫌いなもの その1

映画やアニメや小説・マンガを観たり読んだりすることがずっと好きなのですが、当然なんでも良いわけではなく好き嫌い、というか手を伸ばすものは限られてきます。 もちろん、数えきれないほどの作品というものが時間が経つほど増えてくるわけですからすべて…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その7

続きます。 もっとも重要なのはこの小説が一人称で書かれていることです。一人称はそれ自体がミステリーです。 一人称で書かれた小説は注意しなければならないということを私はアガサ・クリスティの傑作『アクロイド殺人事件』とウラジーミル・ナボコフ『ロ…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その6

続きます。 勝手な解釈をしています。とりあえずネタバレにはなると思います。 『影裏』主人公「わたし」=今野秋一が「両性具有」と書きましたが本音を言うと実は「女性」という可能性と迷っていて決め手がないのです。 とは言え昨日書いた日浅との再会での…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その5

コールマン灯、こんな感じなのでしょうか。 続きます。 以下、ネタバレというか自分流解釈をしています。 昨日の解釈から変化しています。 『影裏』の一人称主人公「わたし」今野秋一は両性具有であり、以前は女性として生活してきました。 名前は男性のよう…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その4

鮠(うぐい) 山女魚 鮎 続きます。 本書を分析していますのでもちろんネタバレになります。正解かどうかはわかりませんが。 その3までで書いたように『影裏』の主人公「わたし」=「今野秋一」が男性なのか女性なのかは未だ私にはつかめていません。 「秋…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その3

続けます。 本書『影裏』実質90ぺーじほどのごく短い小説なのですが読んでいくには時間がかかるのが判ってきます。 多くの読者が前と繋がらなくなってしまい「あれ?」となって前に戻って読み直す、男なのか女なのかよく判らなくなってもう一度確かめてし…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その1

さてさて沼田真佑著『影裏』読書と分析始めます。 冒頭3行は「わたし」が川沿いの小道を歩く場面。 勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。 続く蜘蛛の巣の燦めきの描写からも夏の情景が浮かんできます。 「円網」「燦めいている」という字の選択が作者の感覚を示…

『影裏』沼田真佑ー読む前にー

eiga.com なんとなく小説「影裏」を手に取ってしまいました。 そういえば芥川賞を取った作品でしたね。 短い小説でびっくりするほど薄い本です。 まだ少し目を通しただけなのですが、映画化も決まっていて来年2月には公開ということを知りました。 主演が綾…

『嵐が丘』同じ魂を持つ男と女

これだけが私の『嵐が丘』なのです。中村佐喜子訳。 昨晩寝る前に「嵐が丘」について書かれた文章を読んでしまいました。「キャサリンとヒースクリフは相棒のような関係だった」と。 私が『嵐が丘』を読んだのは中学生か高校生かはっきりもう覚えてませんが…

『不良老人の文学論』筒井康隆

表紙がなぜベティ・ブープなのかは筒井ファンならすぐ判りますね。 などと書くとものすごい筒井ファンのような思いあがりですが実は最近はほとんど読んでいなかったのですね。 ひとつは小説を読む力が昔に比べると悲劇的に失われてしまっているからなのです…

BS1スペシャル「戦争花嫁たちのアメリカ」と『ゼロの焦点』

www.nhk.or.jp 本当に何も知らないまま生きていてこの年齢になって初めて知る、ということばかりなのですが最近になって読んだのが松本清張の本『ゼロの焦点』でした。 (以下『ゼロの焦点』のネタバレになりますのでご留意ください) その中に「戦後、日本…

男のロリコン女のロリコンそしてショタコン

上はロリータ映画ですが 下はショタ映画です こういう紳士が こうなる悲しさよ 相変わらずぼーっとしながら文章書いてたら,huhuさんのコメントでショタコンの話書くの忘れていたことを思い出しましたので少し書き続けます。 女のロリコン=女性が描いたロリ…

「どろろざんまい」番外編 その2

こういう話をこれから描きたかったのです 「妖狼伝説」小説へのリンクです。 マンガよりもこちらが読みやすいかもですw なお、小説とマンガは内容はある部分を除いてほぼ同じなのですが、構成がまるきり変わっています。 上は小説の冒頭へ。 下のリンクはシ…

「どろろざんまい」番外編

www.pixiv.net 早速の「どろろ」番外編です。 番外というのは自分の書いた小説及びマンガ「妖狼伝説」についての話だからです。 その作品は右側面のガエルリンク「ガエルpixiv」から入っていけます。幾つか別のものもありますが「妖狼伝説」というタイトルで…

「文豪お墓まいり記」山崎ナオコーラ

山崎ナオコーラさんの本は読んだことはこれまでになく、この本に取り上げられている日本の文豪さんたちにもあまり馴染みがないのですが「文豪の墓にお参りする」というそれ自体はよくあることなのかもしれませんがそのことをまとめて本にした、という企画が…

宮沢賢治と「八紘一宇」

私は宮沢賢治が大好きであの美しさと可愛らしさに憧れている者です。好きになると作家のことをいろいろ調べたくなるもので私もたいした分量ではありませんが少しはあれこれと読んでみたりしました。 そうすると宮沢賢治という人はいろいろ謎めいたというか表…

「昭和史裁判」半藤一利・加藤陽子 第一章・広田弘毅 その2

広田弘毅に関して私はまったくの無知で、この本を読んで初めてその人となりというかどのような評価を受けた人なのかを知りました。 昨日も書いたように地元では無論「福岡県初の総理大臣」(2番目が麻生太郎氏というのがなんとも。思い切り振り幅がある二人…

「銀河英雄伝説」アニメ第68話まで鑑賞

「銀河英雄伝説」アニメ第68話までこぎつけました。 たぶんこのあたりはもう以前は観てなかったと思います。 ではネタバレですので。 アニメおよそ50話あたりが転機となりますね。それ以前はおおよそよくあるアニメ作品の成功物語ー主人公が大活躍して栄光を…

「大人の道徳」齋藤孝

著者について何も知らず何気なく手に取って読み始めたのですが、こんなことを書いているなんて、と思える箇所が幾つもある一冊でした。 後で検索してみると著書も多く書かれていて幾つかの受賞もされているしテレビで顔を見たこともある人物なのですね。レビ…

「新源氏物語」田辺聖子

田辺聖子さんが亡くなられた。91歳でした。 私は田辺さんというとスヌーが思い出されます。それと「お聖どんアドベンチャー」確か筒井康隆氏が命名したのだけど「“どん”というのは身分の下の人につけるものなのに語呂合わせだけで命名したのだけど、心の広い…

「11eleven」津原泰水

河出文庫 津原泰水著「11eleven」注文していたものが届きました! これから読んでいきますよ。 楽しみ楽しみ! それにしても表紙がステキです!