ガエル記

散策

性愛

『スパイの妻』黒沢清

TV版は鑑賞後の劇場版です。 とはいえ違いはまったくわからず。続けて観ればわかるのかもです。 とりあえず内容は同じで色調などが違うということなのですが。 再鑑賞で感想はどうかなと思っていたのですがとても面白く感じました。 娯楽映画、というのはこ…

『アメリカン・ビューティー』サム・メンデス

初めての鑑賞のつもりでしたが以前観たような気もします。 そしてこの映画がゲーテの『ファウスト』だということに今回気づきました。 この映画は一度観ていたのでしょう。なんとなくそんな気もします。たぶんあまりにも気持ち悪く記憶から抹消してしまった…

現在の性認識と源氏物語 その4

既にタイトルとは離れてきていますがそのまま書き続けます。 この話題は今回で最後にするつもりですがそのヒロインは浮舟です。 田辺聖子著では『霧ふかき宇治の恋』に登場する浮舟はその生い立ちもあってやや軽んじられる存在です。 薫の君と匂宮というふた…

現在の性認識と源氏物語 その3

私が読んだ『源氏物語』は田辺聖子著『新源氏物語』(今風にいうと『シン・ゲンジモノガタリ』)です。なのでここで書いていることはそこからの引用・感想となります。 田辺聖子氏によればあくまでも「主人公である光源氏を魅力的な人物として描くこと」とさ…

現在の性認識と源氏物語 その2

qjweb.jp 今朝アップした記事は少し前に書いていたものでしたがうまくまとめきれずそのままにしていました。 しばらく書き上げるのは無理かな、と思っていた時に上の記事を読んで後押しされる気持ちで書いています。 上の比較を見ると今更に日本という国の性…

現在の性認識と源氏物語 その1

news.yahoo.co.jp www.tokyo-np.co.jp 「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」 立憲民主党所属の一議員の発言からそれに対する賛否がネット上で巻き起こり一週間たってもまだ収まらない状態で…

『ボーダー 二つの世界』アリ・アッバシ

映画好きがどうしても観なければならない作品は、と聞かれたら本作をまず挙げようと決めました。 以下ネタバレしますのでご注意を。 かつて私が若い頃『エレファントマン』という映画が話題となりそれをどう評価するのかを私たちは考えねばなりませんでした…

『アイズ ワイド シャット』スタンリー・キューブリック

キューブリックの遺作であり気になっていたにもかかわらず今まで観ないままになっていました。 最初の数分でやめてしまっていたのでした。 今回急に観る気になったのは宮台真司さんが「フランス人の知り合いはこの映画が馬鹿々々しいと言っていた」という言…

赤塚不二夫「ニャロメのおもしろ性教育」

前々回に書いた「LGBTは存在しない。性同一性障害だって存在しない。とは?」を 引きずって検索していたら ja.wikipedia.org にたどり着きました。 今回はwikiに頼る記事になってしまいますが自分としてはかなり衝撃(というのは大げさですが)を受けてしま…

LGBTは存在しない。性同一性障害だって存在しない。とは?

anmintei.net 「一月万冊」でまた「れいわ新選組」の活動でまた安冨歩氏の著書で私はその考えに深く共鳴し感銘してきていたのですが氏のブログにこのような記事があるのを今まで知りませんでした。 ご本人のリツイートでこの記事を知らされました。リツイー…

『キリング・ストーキング』クギ その8

二日間『キリング・ストーキング』読み込んでいました。再読していっそうその卓越した技術に感服するばかりでした。 主人公ふたりキャラが好み的ではないのは変わらないのですがそれでも飛びぬけた魅力があるのを感じます。 ネタバレしますのでご注意を。 見…

『キリング・ストーキング』クギ その5 『残酷な神が支配する』萩尾望都

さて本腰で『キリング・ストーキング』を語らねばと思ってはいるのですがなかなか難しいのです。 今日の比較相手は萩尾望都『残酷な神が支配する』を選んでみました。 以下両方のネタバレになります。ご注意を。 萩尾望都『残酷な神が支配する』と『キリング…

『キリング・ストーキング』クギ その2 『愛の嵐』

『キリング・ストーキング』で久しぶりに心が動いた気がします。キャラのふたりのどちらも好きではないしむしろむかつくくらい嫌いなのだけど嫌いでも心は動されてしまうしどうしようもなく離れられなくなるのです。それは作品中のふたりが互いを思っている…

『レベレーション』山岸凉子 完結したジャンヌ・ダルクの物語 その2

昨日の記事に「この考察は的外れだ」という指摘があったのですが私にとっては的にめり込む考察であります。この考察をして書かなければ私にとって山岸凉子を読む意味がありません。 では続けます。 ネタバレしますのでご注意を。 巻末に『逃げるは恥だが役に…

『レベレーション』山岸凉子 完結したジャンヌ・ダルクの物語 その1

『レベレーション』6巻。 山岸凉子氏が描いたジャンヌ・ダルク物語が6年を経て完結しました。毎年クリスマス頃に発売されていたので覚えやすく毎年楽しみでした。 以下ネタバレします。他の山岸凉子著作についてもネタバレしますのでご注意を。 実は『レベ…

『ウンギョ 青い蜜』チョン・ジウ

しまった!こんなに面白い映画だと思わずにいました。アマゾンプライム観放題期間あとわずかなので未見の方はお急ぎを! 他の方も書かれていますが邦題の『ウンギョ 青い蜜』のせいで若い女性を売り物にしたエロ映画と勘違い商品しまった方が大勢おられるよ…

『王の男』イ・ジュニク

イ・ジュニク監督作品鑑賞シリーズ。これは当時買ったDVDでの鑑賞です。 私はこの映画があまりにも好きで聞けも読みもできない韓国語豪華版セットまで買ってしまいました。 そして何度も何度も観てきました。今回はしばらくぶりの鑑賞になりましたが物語は全…

『危険なメソッド』デヴィッド・クローネンバーグ

なぜかこの作品のポスターに関しては海外のものより日本のほうがよかったのです。 さっと言葉にしてしまえないほど興味深い映画でした。 まず感じたのは異常者として登場しているザビーナは現在の人間の目からはむしろまともに見えるのではないでしょうか。 …

『エヴァ』ブノワ・ジャコー

最近の日本の観客は簡単に答えが見つからない作品を酷く嫌う。以前はまだ難解な映画を有難がる一派もいたのですが1990年頃を境に答えがすぐに見える作品でないと罵声を浴びせるようになってしまいました。 この映画作品などはその最たるものかもしれませ…

『ネバーランドにさよならを』ダン・リード

大好きだったマイケル・ジャクソンを偲び安冨歩著『マイケル・ジャクソンの思想』を読んで彼の解析を学ぼうとしている時にこのドキュメンタリーを観るのはどうなのだろうかという迷いはありました。 ネタバレしますのでご注意を。 この映像は二人の白人男性…

『レッドタートル ある島の物語』マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

昨日一度書いてあげていたのですが、考えが変化して書き直します。 もともとの文章はこの作品の技術の高さを褒めていたのですが、作品を好きになるかどうかはそこではない、と思い直しました。 先日観た台湾アニメ作品『幸福路のチー』とは比較にならないほ…

『約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語』ニキ・カーロ

上の映像を撮りたいために作ったのではないかと思えます。 とても奇妙で不思議なテイスト(ワイン映画だけに)の作品でした。 ネタバレしますのでご注意を。 この不思議感は女性監督だからでしょうか。監督がニュージーランド人、俳優はフランス人ベルギー人…

『狗神』原田真人

初めてきちんと観ることができました。 私事ですが数年前(もっと経つのか)『妖狼伝説』というオリジナル小説を書きその後さらにマンガに描いたということをしました。 小説はほとんど一か月くらいで書いたように記憶しますがマンガはさすがに数年かかって…

『王妃マルゴ』萩尾望都 再再再読

時折ちょこちょこ読み返してはいるのですが今回結構読んでしまって「やっぱりすごい」と唸ってしまったので感想を書いてみることにします。 ネタバレしますのでご注意を。 全8巻ですが、物凄く濃密な内容です。一般的なマンガ作品なら50巻以上は軽くいってし…

「ライオンブックス」『あかずの教室』手塚治虫

昭和46年6月21日号少年ジャンプ掲載、となっています。 とにかく初めて読んだ時にその鮮烈な表現に恐怖してトラウマになった作品です。 典型的なポルターガイスト作品なのですが当時の私にはたぶん初めてそういう話をマンガで読んだはずで震えあがりました。…

『ロバと王女』ジャック・ドゥミと「星の素白き花束の・・・」山岸凉子

邦題が珍しくシンプルですが実際は『Peau d'âne』でそのまま『ロバの皮』なのでこれでもやっぱりちょっと違う感は否めないのです。『ロバと王女』ではロバと王女になにかが起きてしまうようですが王女がロバの皮を被って行動する話なのでむしろ 『王女はロバ…

『羊たちの沈黙』ジョナサン・デミ

もう何度も観てきた映画なのですが、また観てしまいました。というか観終わってもう一度観たい気持ちが渦巻いています。あまりそうそう観返すのも気が引けるのですが。 何故この映画をそんなにも観たくなってしまうのでしょうか。 本作はまずはレクター博士…

『ロリータ』スタンリー・キューブリック

この映画、観ていない、と思っていたのですが観始めたら一度観ていたような気もしてきました。なぜなら途中のホテルでの簡易ベッドを広げるドタバタ場面がデジャ・ビュだったからなのですが、もし観ていたのだとしてもまったく覚えていないのは無理からぬこ…

高橋源一郎『飛ぶ教室』第一回「植草甚一」

高橋源一郎「飛ぶ教室」というNHKラジオ番組の第一回目を機会があって聞いたのですが、その内容にスルー出来ない感覚があったのでここで書いてみようと思います。 番組内容は「植草甚一の生き方」について、で後半から番組のテーマ作曲家でもあるという菊地…

『第三夫人と髪飾り』アッシュ・メイフェア

昨日観た『チューリップ・フィーバー』と題材は同じものです。どちらもかつて女性にとって結婚は子供(特に後継者となる男子)を生む道具としての役割を果たすことにあったことを美しい映像で語る作品なのです。 しかしその題材をほぼコメディに近い演出でト…