杉浦日向子
1984年「ビッグコミックオリジナル増刊」 ネタバレします。 「閑中忙あり」Ⅰ [らしゃめん] 明治六年横浜 英語翻訳のバイトをしている医学書生野中は突如、洋妾(らしゃめん)と異人の痴話喧嘩を耳にする。 見ればそれは友人の妹尾であった。 彼を助けるた…
1986年1月12日号「サンデー毎日」 あるアニメ作品と同じタイトルでこちらが先行。何か意味があるのだろうか。 ネタバレします。 1873年(明治六年) 親愛なるマーガレット 僕は今、君が「東洋の楽園」と形容した島に居る 明治時代の日本を訪れたシロさん(と…
ネタバレします。 「術」 明和の頃、筑波山の道然は弟子・小松を連れて里に下り茶屋に入った。 茶屋の娘があまりに可愛いので小松はちょっかいを出してしまう。 ところが茶屋の娘は小松以上の術の使い手であった。 簪を蛇に変え小松を捕らえてしまう。 師匠…
1985~86年「小説新潮」1988年「筑摩書房」(ちくま文庫) ネタバレします。 1985年正月東京、とある。 マンションの窓から外を見下ろす若い女性。 「夢。そう夢の話。それは東京で自分の生まれるずっとずっと前の東京で」 と始まる。 「ああ、これは安治の…
ネタバレします。 「吉良供養」上・下 この本の一番の読み物であろう。 あの『忠臣蔵』を吉良上野介側から観た考察マンガ作品である。 まず冒頭に 「大義」が殊更物々しく持ち出される時人が大勢死ぬ。快挙とも義挙ともはた壮挙とも云われる義士の討入はまぎ…
ネタバレします。 「花景色狐巷談」 春。 花見酒で狐に化かされたという話を聞くこと多し。 春先の水が流れ込んで大そうぬかる田の中を着物の裾を高くまくった侍が膝までもぐって右往左往しているのを「はて妙なことがあるものだ」と人々が遠目に観て集まっ…
本作が杉浦日向子デビュー作という。 なんというデビュー作だい。 ネタバレします。 「虚々実々 通言室の梅」 武士なのにも関わらず商家の若旦那という風情で遊郭を訪れた藤森はすぐに太鼓持ちに見破られてしまう。 それをなんとか誤魔化して中に入ったもの…
1983年「双葉社」(のち「ちくま文庫)) ネタバレします。 「袖もぎ様」 手鏡で外の様子を見ている箱入り娘。 見ているのは店の前をいつも通る若者であった。 冒頭から娘の後ろ姿が描かれる。 紙の結い方、飾りそして襟首の細さ初々しさあどけなさ。 そして…
ネタバレします。 其の二十五「心中屋」 これがまたなんともおもしろい。 若い娘が血だらけで倒れその側に遺書らしきものが。 母親は泣いてとりすがるが娘は血だらけのままむくりと起き上がり「おっかさん」 昨夜死ぬつもりで歩いていたら通りすがりの男に「…
ネタバレします。 其の二十一「愛玩」 天衣無縫な娘の話。 男でも女でもこんなお嬢さんに惹かれてしまうんだろう。 でもそれはほんとに犬猫みたいな可愛さがあるからなのだろう。 そういう風になりたいと思ってもなれるものでもなくその演技をしているのかも…
ネタバレします。 其の十六「火焔」 アニメ映画でも使われていたこのエピソード。 「火事と喧嘩は江戸の華」の「火事」のほうである。 お栄は「火事」と聞くと矢も楯もたまらず駆け出してしまうのだ。 最初のコマ、この鐘は「カンカンカン」だと思ってたら「…
ネタバレします。 其の十二「矢返し」 矢場の女である”お時”は尻を触ってくるような野郎には容赦はしない。 が、姿の良い若侍に好意を持っていた。 若侍との逢瀬でときめくお時に若侍は「家に帰ろう千草」と告げる。 なんと若侍はお時の異母兄だったのだ。 …
ネタバレします。 北斎の女弟子井上政女を描く。 色っぽい美女政女はなんとなく作者の杉浦日向子氏を彷彿とさせる佇まいである。 ご本人、自分をこう思っていたのか、それともたまたま似てしまったのか。 作者自身がヒロインよりセクシー美女という凄さよ。 …
で、最初からまた読み直します。 ネタバレします。 其の一「番町の生首」 文化十一年・江戸 葛飾北斎五十五歳 娘・お栄二十三歳 池田善次郎(渓斎英泉)二十三歳 私にはわからないがそれでも書かれる江戸言葉が小気味よい。 凄まじく散らかった北斎とお栄の…
1983年「漫画サンデー」 本作を原作とするアニメ映画は鑑賞済みだが本作は初読みです。 ネタバレします。 そのアニメ映画に対する感想はもう記憶が定かではないが主人公のお栄のキャラクター造形(外見も内面も)をはじめストーリーも世界観も「悪くはないけ…
1973(昭和48年)年12/13号~74年10/17号「漫画アクション」 葛飾北斎の弟子と名乗る捨八を中心として北斎の娘お栄、捨八の女房となる二代目八百屋お七、さらに蔦谷重三郎、曲亭馬琴などが総出演する。 ネタバレします。 上に貼った表紙絵の男・捨八のキャラ…
ネタバレします。 (了) 「維新は実質上維新(これあらた)なる事はなく末期幕府が総力を挙げて改革した近代軍備と内閣的政務機関を明治新政府がそのまま引き継いだにすぎない。 革命(revolution)ではなく復位(restoration)である」 雨降る夜分、腕に傷…
続きます。 ネタバレします。 (五) 悌二郎の妹砂世は別の人に嫁ぐこととなった。 その前に一目、極に会いたいという。妹の頼みを悌二郎は極に伝えに行く。 極はその頼みを断る。その時に「山は官軍に取り囲まれている」と報がはいった。 即刻戦闘準備がな…
さて続きです。 ネタバレします。 (参) 彰義隊はすでに三千名を越え存在そのものが巨大な反政府勢力とみなされていたが、彼らには新政府を倒し幕府の再建を謀るという所思はなくしいて言えば「義憤」が彼らの原動力にすぎなかった。 しかし数度の解放勧告…
初めての杉浦日向子作品読です。 今幕末から昭和初期までの歴史にはまっており本作に巡り合いました。 私はとりあえず生まれた場所的に官軍側の人間なのですが、だからといってこれまで大した幸運はなかったよなと思っていました。しかしよくよく考えれば歴…