ガエル記

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殺人

『JFK』オリバー・ストーン その2

「真実を語ることができない国にきみたちは住みたいのか」 という言葉をギャリソンが言い放つ場面がありました。(おおよその記憶) ところでわが国ではこの言葉の持つ意味はほとんどないように思えます、今現在。 もちろんそうではない国になりたいのですが…

『JFK』オリバー・ストーン

しばらくブログを書けずにいました。理由のひとつは仕事が忙しかったからなのですが、もうひとつはちょうど観始めたのが映画『JFK』でこれが非常に面白いのですが簡単に感想をまとめきれるような代物でなくしかも他に様々気を取られることがあって(コロナと…

『ゼロの焦点』松本清張/野村芳太郎/犬童一心

上の記述とは逆に犬童一心監督作品『ゼロの焦点』を観てからの展開でした。 と言っても野村芳太郎の映画はすでに鑑賞済みでその後松本清張原作も読んでいます。 で今回の犬童一心監督作品『ゼロの焦点』ですがまさしく現在日本映画の欠点をすべて出し尽くし…

『千利休 本覺坊遺文』熊井啓

昨日に引き続き熊井啓作品を鑑賞しました。なんとなく気になって(先日『利休』を観たのもあって)後で熊井啓監督作品だった、と気づくといういつものヤツ。熊井監督は昨日の『海と毒薬』もですが映像が美しくその世界の中に入っていきたいと思わせる情感が…

『海と毒薬』熊井啓

太平洋戦争期、実際にあった生体実験に関わった二人の若い医師の心を描き出していく。 遠藤周作原作小説を映画化したものです。 テーマからして重々しく謹厳な面持ちで鑑賞するべきものですが、ふたりの若い医師、勝呂=奥田英二、戸田=渡辺謙のほんとうに…

『利休』勅使河原宏

いくつか利休を題材にした映画作品がありますが、一番先に興味を持つのはこれでした。 それはやはり主役利休を三國連太郎が、秀吉を山崎努が演じているというキャスティングにあると思います。他作品は観ていないのですが(たぶん)その点で一歩下がってしま…

『宿命の系譜 さまよえる魂』アリス・トラウトン

全六話、鑑賞終了し、いま再鑑賞しております。続けて二度観るほど面白く、かつよく判らなかったせいもありますが。 それにしてもイギリスの映像制作者はこうした地道な日常風景の演出がなぜこうもうまいのか、と思います。 ホラーもSFもこうしたあたりまえ…

『シッコ』マイケル・ムーア

アメリカ&日本での公開は2007年なのですでに13年が経過しての初鑑賞です。 アメリカ医療制度は変わったのでしょうか? 日本での反響は少なかったということですね。まあ、自分に関係ない話、としか思えないので当然でしょうし、ドキュメンタリーとしてのやり…

『ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~』ダニエル・クルーディ、ブリジット・サヴェージ・コール

Amazonオリジナル映画です。もちろんアマプラで鑑賞。 いまだに時折「映画はもう作られすぎていて新しい物語を作ることができない」という人(ほとんど男性)がいますが、そのほとんどは男性主人公、もしくは男性目線での女性主人公(つまり女性の視点ではな…

『武器人間』リチャード・ラーフォースト

日本のポスターのほうが良いデザインなのは希少ですね。第二次世界大戦中、ソ連軍がナチスの占領地区で怖ろしい人体実験の施設を発見します。そこではフランケンシュタイン博士の末裔が行っていた武器と人間を合体させた最強の兵士が製造されていました。 ソ…

『アルカディア』アーロン・ムーアヘッド ジャスティン・ベンソン

幾つもの受賞をしている面白い映画なのですが、何が面白いのかさっと言えない面白さです。 詳しく調べたわけではありませんが本作監督のふたりアーロン・ムーアヘッドとジャスティン・ベンソン が主演も両人でこなしています。 ほとんどが孤立した小さな村で…

『ロリータ』エイドリアン・ライン

キューブリック作品も一緒に観たかったのですが、アマプラ無料はこちらだけだったのでキューブッリク・ロリータはまた別の機会に。 原作のナボコフ『ロリータ』は愛読書と言ってよいほど読み返していて再読リストの上位にある小説であります。 そういう者に…

『ソロモンの偽証』と『銀河鉄道の夜』初期型と『トーマの心臓』

今日、YouTubeで宮台真司さんの話を聞いていたら『銀河鉄道の夜』のもう一つの話を知ることができました。 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は私も大好きな物語です。 仲良しのジョバンニとカンパネルラが祭りの夜に同級生たちとは離れてふたりだけで汽車に乗って…

『ソロモンの偽証』映画と小説の違い 6

読了。面白かったです。 ではネタバレです。ご注意を。 もう映画はどうでもよくなってしまいました。 優れた小説が原作であってもどこを選択していくかで作品はまったく違うものになってしまうのです。 柏木卓也、そして神原和彦、野田健一という三人がこの…

『ソロモンの偽証』映画と小説の違い 5

ブリューゲル「絞首台の上のカササギ」 続けます。 地味に読み続けています。そして毎回なぜここを映画にしなかったのか!といきり立っているわけです。 何度も何度も言いますが、物語の中心人物である柏木卓也を映画では矮小化し紋切り型のサイコ野郎にして…

『ソロモンの偽証』映画と小説の違い 4

続けます。 ネタバレになりますのでご注意を。 読み進むほどに何故映画では柏木卓也をもっと深く描かなかったのかと不思議でなりません。 何度も繰り返しますが、この物語は彼の死にまつわる物語です。その当人がどんな人物だったのかを掘り下げないのは核心…

『ソロモンの偽証』映画と小説の違い 3

読み進めています。小説を読みこむほどやはり柏木卓也くんの描写がなかった映画版が奇妙に思えます。なぜ物語の最も大切な核心を描かずに映画にしたのでしょうか。 素晴らしい物語をあの形で映画にしてしまったのは悔やまれます。もう一度新しく映画化してほ…

『ソロモンの偽証』成島出ー映画ー前・後編

録画した『ソロモンの偽証』映画前後編一度チラリ見して冒頭で気が乗らずにやめていたのですが岡田斗司夫さんの過去動画で前半映画上映が「めちゃくちゃ面白かった。後半に期待」というのを見てしまって再鑑賞することにしました。 結果、物凄い疑問が膨れ上…

『キングダム・ソルジャーズ -砂漠の敵-』マーク・ミュンデン

先日アマプラで偶然観てしまった『ベイビーブラザー』で久々私的大興奮推奨映画監督となったマーク・ミュンデンのもっと以前2007年の映画です。 最初に観た映画が良かったからと言って必ずしもということはありませんが『ベイビー』の感じからしてあまり心配…

『悪魔の飽食』森村誠一

高校生の時に怖ろしくて読めず今初めて読んだつもりでしたがこの長い時間にあれこれと読んだものがあったので初めて読んだような気がしませんでした。もしかしたらいつの間にか読んでいたのかもしれません。 他の日本軍加虐事例と同じくこれも「でたらめだ、…

『アンダン ~時を超える者~ 』

www.amazon.co.jp アマゾンプライムにて鑑賞。吹替で観ましたが字幕もあります。 とんでもないことが起きた時に時間をさかのぼって出来事を変えてしまう、という話は数えきれないほどあるけどその発想自体は好きではないです。 しかしそれでも作品が作られて…

山上たつひこ『光る風』読みます。

www.amazon.co.jp 偶然、山上たつひこ『光る風』が読めることになって小躍りしています。 いやこんなこともあるのですね。 事の起こりはジャンプマンガ『僕のヒーローアカデミア』の登場人物「志賀丸太」という名前が問題になったことからなのですが。 第二…

『ジョーカー』トッド・フィリップス(『人斬り以蔵』を思い出しました)

さんざん凄い映画だと聞いたうえで観たのですが、それでもそんな情報など何の意味も無いほど衝撃の映画でした。 まずは人生の悲しみ辛さの共鳴に押しつぶされるべきなのでしょうが、私はやはりアーサーに共感したふりをしてみせるだけの観客にすぎないのでし…

『サスペリア』(2018)ルカ・グァダニーノ

ダリオ・アルジェント『サスペリア』のリメイク作品ですが、えげつなく凄い映画でした。 ネタバレですのでご注意を。 リメイク、と聞くと前作より劣化したものがほとんどという印象があるものですがこの作品においてはそれは当てはまらないだけでなくリメイ…

『ボウリング・フォー・コロンバイン』マイケル・ムーア

2002年製作映画。再鑑賞です。 本作でマイケル・ムーアは「アメリカ白人男は臆病すぎて銃による殺人をやめられないでいるんだけどいい加減にしようぜ」とくどいほど大声で叫び続けているのですが今のところはその効果は得られてないように思えます。 もちろ…

『彼らの犯罪』ー「親が・殺す」樹村みのり

非常に読み応えのある短編集でした。 第一話・表題作でもある「彼らの犯罪」は同時期を生きていたものならほとんど聞いたことはあるだろういわゆる「女子高生コンクリート殺人事件」についてのマンガ作品です。心底ぞっとする怖ろしい事件ですが今回は第二話…

『ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜』

昨年末、芥川龍之介を松田龍平が演じるというので期待していたのですがこの前に放送された同じく松田龍平主演のNHKドラマがあまりに酷かったのでなんとなく影響して観るのが今になってしまいました。 が、こちらは期待以上に、というか予想したのと違った方…

『メンタリスト』シーズン7 最終章

とても好きで観続けてきました。アマプラで最終シーズンと気づいて観ています。 途中が抜けてしまったのかどうかはもうよく判りません。 始まりはCBIという架空の組織に属していた主人公たちがFBIという当たり前の組織の一員になってしまうというのも変な展…

『レベレーション』5 山岸凉子

年末に購入して読みました。一年に一度クリスマスに読める山岸凉子マンガ『レベレーション』は楽しみです。 が、内容は想像していた通りですが大変辛いものです。 ジェンヌ・ダルクが華やかに活躍できたのは一時期だけで他はひたすら苦渋の日々です。 山岸凉…

100分de名著『カラマーゾフの兄弟』

www.nhk.or.jp NHK「100分de名著」今回はドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」大変おもしろい内容でした。非常に難解な長編小説、という紹介をされることが多い本書で確かにそうなのでしょうが、私はきわめてミーハー的読者としてこんなにぐいぐい読め…