ガエル記

散策

LGBT

『マダム (Madame)』ステファン・リトゼール

場所はスイス。裕福な家庭に生まれ育った青年が恵まれた幸福な成長期の中で自分がゲイであることに気づきながらも皆が言う「普通の男性」であろうとしながらついにゲイであることを確認し家族に告白する過程を追っていったドキュメンタリー作品です。 なんと…

『影裏』大友啓史 その3

映画化を聞いてこの画像を見た時は期待しました。 以下ネタバレしますのでご注意を。 なんといってもこの映画作品を良しとできないのはそれ自体が同性愛を表面的にしか描いていないからです。 先日も書いたように大友監督は原作にはないセリフ「ものごとの表…

『影裏』大友啓史 その2

北の大地と書いて岩手県ということでいいのだろうか? 原作は沼田真佑氏によって書かれた素晴らしい小説ですが、映画は大友啓史監督によってその価値は非常に歪められてしまいました。 以下ネタバレしますのでご注意を。 松田龍平、綾野剛そして父親役に國村…

『影裏』大友啓史 その1

原作小説の感想を書いた時「この映画に期待している」と本気で思っていたのに映画公開にも(どうせ行けないが)DVD化にもまったく気付かず偶然見つけた時はすでに旧作品になっていました。 ネタバレしますのでご注意を。 芥川賞受賞という華々しいデビュ…

『POSE』Netflix

以前といってもかなり昔になってしまいましたけど、いわゆるLGBT系の映画小説マンガなどに浸りこんでいました。その頃はLGBTと言う言葉はなかったしBLという言葉すらありませんでした。 物語は主人公の目覚めから自分を認めてくれない世間や家族との葛藤差別…

ユヴァル・ノア・ハラリ、オードリー・タン対談「民主主義、社会の未来」全和訳

community.exawizards.com ハラリがあんなに「AIの方が人間よりも人間のことをわかっている時代が来たら?」という問いに固執する理由として、自分の性的指向を、AIの方が先に気づいたかもしれない、という想像があったことを知った。興味深い。 #NewsPicks …

高橋源一郎『飛ぶ教室』第一回「植草甚一」

高橋源一郎「飛ぶ教室」というNHKラジオ番組の第一回目を機会があって聞いたのですが、その内容にスルー出来ない感覚があったのでここで書いてみようと思います。 番組内容は「植草甚一の生き方」について、で後半から番組のテーマ作曲家でもあるという菊地…

『ある少年の告白』ジョエル・エドガートン

映画には大まかにふたつの種類があってひとつは個々人の精神を表現するもの、もうひとつは実際存在する事象を良きにつけ悪しきにつけ報道する形のもの、と言えるのではないでしょうか。 例えば先日観た『魂のゆくえ』は社会を描きながらも本質は個人の精神の…

『ある女流作家の罪と罰』マリエル・ヘラー

これってジョーカー女性版?という言い方は釣りですが。 とても面白く鑑賞しました。こんなに優れた映画作品が日本では劇場未公開です。そういうことですね。 苦くて甘くて眉をしかめつつもくすりと笑ってしまう、そんな映画でした。そういうのは凄い映画じ…

もうひとつの『サラ、神に背いた少年』そして『いつわりの祈り』

headlines.yahoo.co.jp よく「これは誰かが代わりにい書いたんじゃないのか?」みたいな疑惑が起こったり問題になったりすることがありますが、まさしくそう思われそうな話なのにもかかわらず誰もが信じてしまった、のでしょうか。 上にあげたような金髪の少…

『ファスビンダーのケレル』ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

アマゾンプライムに『ファスビンダーのケレル』があるじゃないですか。 うわあ。最近ですよね、入ったの。 アマプラから早く足を洗ってネトフリなどに行きたいと思っているんですがどういうものかアマプラのほうに観たい作品が出てくるのでなかなか抜け出せ…

『ジェフリー・ダーマー』デヴィッド・ジェイコブソン

www.amazon.co.jp なぜかアマプラの「日本映画」のカテゴリの一番目に入っていて気になり(今は変わっていた)レビューを見たら惨憺たる評価で「ダメダメ映画」「肝心な場面が描かれていない」「恐怖も生い立ちも中途半端」「他のを観るのをおススメ」つまり…

『女王陛下のお気に入り』ヨルゴス・ランティモス

見るもおぞましい宮廷映画、と言うべきなのでしょうか。 豪華絢爛な衣装、奇怪なかつらや化粧に彩られた貴族という名前の醜悪な生物たちの物語でした。 さまざまに従来の貴族物語、宮廷絵巻という特に女性にとって憧れの世界がこうまでグロテスクに描かれた…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その7

続きます。 もっとも重要なのはこの小説が一人称で書かれていることです。一人称はそれ自体がミステリーです。 一人称で書かれた小説は注意しなければならないということを私はアガサ・クリスティの傑作『アクロイド殺人事件』とウラジーミル・ナボコフ『ロ…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その6

続きます。 勝手な解釈をしています。とりあえずネタバレにはなると思います。 『影裏』主人公「わたし」=今野秋一が「両性具有」と書きましたが本音を言うと実は「女性」という可能性と迷っていて決め手がないのです。 とは言え昨日書いた日浅との再会での…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その5

コールマン灯、こんな感じなのでしょうか。 続きます。 以下、ネタバレというか自分流解釈をしています。 昨日の解釈から変化しています。 『影裏』の一人称主人公「わたし」今野秋一は両性具有であり、以前は女性として生活してきました。 名前は男性のよう…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その4

鮠(うぐい) 山女魚 鮎 続きます。 本書を分析していますのでもちろんネタバレになります。正解かどうかはわかりませんが。 その3までで書いたように『影裏』の主人公「わたし」=「今野秋一」が男性なのか女性なのかは未だ私にはつかめていません。 「秋…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その3

続けます。 本書『影裏』実質90ぺーじほどのごく短い小説なのですが読んでいくには時間がかかるのが判ってきます。 多くの読者が前と繋がらなくなってしまい「あれ?」となって前に戻って読み直す、男なのか女なのかよく判らなくなってもう一度確かめてし…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その2

続けます。 樹木の名前が続きます。 橡 白柳 いずれも拾い画像です。 さて5ページ目のおわりに日浅という人物が登場します。 そしてそれまで自然の情景描写が主だったのが、6ページからは日浅の描写が中心になっていきます。 さらに7ページで「わたし」が「…

沼田真佑著『影裏』を読み解いていきます。その1

さてさて沼田真佑著『影裏』読書と分析始めます。 冒頭3行は「わたし」が川沿いの小道を歩く場面。 勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。 続く蜘蛛の巣の燦めきの描写からも夏の情景が浮かんできます。 「円網」「燦めいている」という字の選択が作者の感覚を示…

『影裏』沼田真佑ー読む前にー

eiga.com なんとなく小説「影裏」を手に取ってしまいました。 そういえば芥川賞を取った作品でしたね。 短い小説でびっくりするほど薄い本です。 まだ少し目を通しただけなのですが、映画化も決まっていて来年2月には公開ということを知りました。 主演が綾…

『少女革命ウテナ』再鑑賞

『少女革命ウテナ』2周目、観終わりました。 ラストやはりとても素晴らしい。 愛とはなにか。生きるという事はどういうことか。 このアニメを観て他のいろいろな本を読んで世界を見て知っていくことは大切です。 そしてなんといってもこの華やかな絵柄、演劇…

『少女革命ウテナ』樹璃と枝織と瑠果

『ウテナ』の物語、しばしば意味ありげな表現で謎めいて年若い視聴者をいったいどういうことかと悩ませてしまいそうなエピソードがいくつもあります。 今回『ウテナ』を見直す際にもう一度観たいとおもったものの一つが樹璃と枝織と瑠果の物語でした。 樹璃…

再び『少女革命ウテナ』

最近BDダビングが上手くいかないことが多くてそれに気づかぬまま後でまとめ見ようとした時にやっと気づいてorzが続いています。たぶん機器がもうヘタってるんですね。 こともあろうに『進撃の巨人』の数話がそうなってしまい、今回仕方なくdアニメストアで鑑…

『進撃の巨人』のすげえとこ

『進撃の巨人』のストーリーについてはやはり終わってからにしたい気持ちがあるのでここでは他の設定について色々考えてみます。 なんといっても「衝撃」と言っていいほどだったのは男女の性差別の緩やかさですね。 これも異世界ものを構築する時に作り手の…

「藍宇」關錦鵬(スタンリー・クワン)

天安門事件を描いた映画、というとその名がタイトルに使われている作品を含めていくつもあるのでしょうが、私がすぐに思いつくのはこの「藍宇」です。 2001年公開作品。スタンリー・クワン監督。出演した胡軍(フー・ジュン)リウ・イエの二人は知らなかった…

『ノーマル・ハート』ライアン・マーフィー Amazon Prime Video

HBO制作のネット配信映画です。 HIV感染は現在では治療薬もあるのですが1980年代のアメリカ(日本は無論のこと)では未知の病であったのです。 私が記憶しているのは日本にも情報がきたものの「死に至ってしまう怖ろしいホモの病気」ということで半分笑いの…