HBO制作のネット配信映画です。
HIV感染は現在では治療薬もあるのですが1980年代のアメリカ(日本は無論のこと)では未知の病であったのです。
私が記憶しているのは日本にも情報がきたものの「死に至ってしまう怖ろしいホモの病気」ということで半分笑いの対象になっていたようにさえ思います。
が、異性愛者にもそして当時薬害エイズと呼ばれた非加熱製剤によるHIV感染も広まったことから次第に報道内容は変化していきました。
日本という社会では同性愛の病気ということが先に報道されたことでなかなか偏見が改善されず正しい知識が広まりにくかったように覚えています。
しかし日本とは全く異なりゲイ運動も大きく活発なアメリカでさえエイズが発症した当初はこんなにも混乱した状態だったのだということを改めて知らされた気がします。
これまでも映画やドラマなどでたびたび見てはきたのですが、HIV感染とエイズによる悲劇と心理をここまで明確に表現したものはなかったようにも思えます。
それは今だからこそ見えてくるもの、そして映像化できることもあるのかもしれません。
主人公ネッドはジャーナリストであり裕福な兄を持つ恵まれた環境にいて自制心もあり前進しようという強い意志を持つ男性であるがゆえに他者にもそれを求めすぎ暴走してしまう傾向があります。
そして彼の心強い味方である女性医師は自らはポリオのために車椅子で行動しながら医師として当時怖ろしい不治の病だったエイズ患者たちを診察・治療し続けます。
女性医師を演じるのはジュリア・ロバーツです。彼女に対しては人種や美醜での差別的な人格であるという報道を聞いてから好感を持てずにいたのですが、この作品での飾らない演技はさすがに感心してしまうものがありました。
それにしてもme too運動にしろ、この作品のGMHC(ゲイメンズ・ヘルス・クライシス)にしろ、アメリカでの戦う人々の強い意志と行動力は本当に圧倒されます。
主人公のあまりの暴走ぶりに仲間から疎外されてしまうほどに必ず勝つ!という気持ちがあるのです。
エイズ、というだけではなく戦おうという気持ちを持つ人は勇気を与えてくれる作品だと思います。
そして家族愛や友情の深さが染みてきます。
以前ゲイが題材である場合、なんともいえない違和感が常にあったものですが、こんなにもフラットな感覚で映像化できるようになったのだなという感慨もあります。
なんとも言えない違和感、というのはなんでしょうか。普通ではない変なものが登場する作品ですよーという感じといいますか。
今ではそんなヘンテコな空気なしに当たり前にそれらを映しているという感じ、というのでしょうか。
そういう感覚になったこと自体も素晴らしいことですし、いらいらさせられないほっとする感じがあるのです。
そういう感覚も含めて是非見て欲しい配信映画だと思います。
配信映画であることを残念がる方もいるようでちょっと驚きですが、私は配信映画が増えることは喜ばしく望んでいます。
劇場公開されても良いと思いますが、配信映画はますます増えて欲しいものです。