この本を読んでいる時ちょうど世間では#KuToo問題が騒がれていました。ジャンヌ・ダルクと現在のハイヒール問題、なんの関係もないようですが実は女性にとって服装とは自由と権利を象徴するものであり、時代に反する装いは異端視される、ということからこの二つは苦悩を同じくするものであったのです。
1400年代初めに生きたジャンヌの苦しみと2000年初めの女性の問題、600年の時を経て女性の苦悩があまり変わっていないように思えるとはいったいどういうことなのか、よく考えてみなければなりません。
1431年フランスで、19歳の少女ジャンヌ・ダルクは魔女であるとされ火あぶりの刑に処せられました。いったいどういう理由でそんなに若い彼女が火あぶりという怖ろしい処刑をうけたのでしょうか。
一介の女性しかも無学な少女の身ながらジャンヌは神の声を聞き、いまだ不安定な立場の国王シャルルの元へ走りました。神のお告げにより馳せ参じたジャンヌの言葉は王の心を確固たるものにする力を持っていました。
そして彼女が神の声を聞いたことの証しとしてイギリス軍に包囲されたオルレアンを解放する戦いの先頭に立ち勝利を収めてしまいます。
この時ジャンヌはまだ17歳です。彼女は男と共に戦うために女性として長い髪が当然の時代に髪を短く切り男の服を着ました。女性は成長すれば嫁ぎ子供を生むことだけを求められる時代に、ジャンヌは男以上の業績を上げて名声を高めていったのです。
しかしすぐにジャンヌは男たちにとって邪魔な存在となっていきます。彼女を疎ましく思う男たちはジャンヌを傲慢になったとして咎めだしたのです。
神の声だけを頼りに女の身一つで戦い続けてきたジャンヌはほどなく投獄され味方の助けで逃亡を図るも失敗に終わってしまいました。
ジャンヌは教会裁判にて大勢の神学者(もちろん男性ばかりだと思われますね)から幾度も審問を受けなければなりませんでした。
ジャンヌが戦いのために髪を切り身に着けた男装は異端の印とみなされたのです。教会から男装をやめるように言われたジャンヌはいったんは女装します。
しかし牢獄での男たちからの性的暴行から逃れるために再び男装を続けたことでジャンヌが魔女であることの証明とされ、火あぶりの刑になったのでした。
後にジャンヌの名誉は回復され聖人としてあがめられています。
現代に戻りましょう。
2019年日本で働く女性たちは強制されるハイヒールは苦痛で足を変形させ後遺症にも苦しむ為、靴の自由を認めて欲しいと訴えましたが政府から言い渡された言葉は直ちに社会に対して女性の足を自由にしてくれるものではありませんでした。
ハイヒールだけではなく学生時代の制服のスカートの強制=なぜズボンをはいてはいけないのか。化粧やムダ毛うんぬんは置いとくとしても肉体的苦痛を強いられるものに関してだけでも改善してほしいという問題がいまだに解決しないのです。
現代のジャンヌたちも火あぶりになるまで抵抗し続けねばならないのかもしれません。
後に聖人としてあがめられることを信じて。
などという世迷言を言って誤魔化して済ませてはいけません。
それぞれに応じた好きな靴を履く権利を求めるのは大切なことです。
自分の体を心地よくしてくれ守ってくれる衣服や靴を選ぶ権利を誰もが持っています。
火あぶりにする権利は誰も持ちません。