2018年のベストセラーです。吉野源三郎原作、羽賀翔一マンガ化作品。気になって立ち読みなどしていたのですが、やっと読みました。
立ち読みの時は絵の簡単さに驚き、ざっと見たために「どうやらいじめ問題に対抗できなかった少年がおじさんに助言を求める話のようだけどあまり興味持てない気がする」と思えて気にはなりつつ今まで読む機会を失っていました。
実際きちんと読んでみるとチラ見で思ったようなものではなく「これはいいな」ととても共感できる内容でした。
私が「いいな」と思ったのは主人公コペル君が学んだ事柄以上に彼に「おじさん」という「共犯者」ならぬ「共考者」の存在がそばにあって彼を見守ってくれることでした。
タイトルからしてそのまんまですが、実は原作はまだ読んでなくて先日その原作の映画を観てこれもすごく「いいな」と思ったのでした。
北杜夫原作の映画「ぼくのおじさん」のおじさんは「君たちはどう生きるか」のおじさんと同じく無職に近くてぶらぶらしている、というところが一緒です。
両方とも文学かぶれみたいな感じで偉そうにしているけど看板がない状態なわけです。
ぼくのおじさんの方は主人公の少年の家に居候をしていてマンガを読むのが趣味で毎日ぐーたらしています。
一方「君たちは」のおじさんは無職でたまにコペル君ちにご飯を食べにきたりするわけですが、こちらは物凄く前向きでコペル君の父親の遺言もあって彼を教育しようという強い決意と子供向けの良い本を出版したいという高い理想を掲げているという立派なおじさんです。
でも私としてはどちらも「いいなあ」と思えたのでした。
「ぼくおじ」ではぼくはダメダメなおじさんにあきれてがっかりもします。「きみどう」では建設的なおじさんとともに深く考えていくわけですが、どちらの少年も立派に育っていけるようです。
むしろダメダメおじさんを庇護しているぼくのほうがしっかりしそうな気もしますけどね。
「ぼくのおじさん」に引きずられそうなので戻しますが、「君たちはどう生きるか」マンガは想像していた以上に私に響く作品でした。
特に好きなのはコペル君とおじさんが「ものすごい発見」をしたような気になって体がむずむずするのを抑えきれず互いに走り出してしまうところです。
この感激は他のものから見たら「なにやってんだあいつら」なことでしょう。
この高揚感は二人だけの喜悦なのであり二人だけの共鳴なのです。
お話としては「貧しい同級生浦川くんを見下げなかったコペル君を褒めること」だったり「浦川君をかばったガッチンが上級生から復讐されてしまうのを庇えなかったコペル君の悔恨」だったりするのですが、そこから「人間の真実を見つけた」感動をするたびにおじさんとコペル君はまたたまらない法悦境にはいって走り出すのですが、その光景が私にはかなりツボでして昔から大好きなのを思い出しました。
かつて「1・2のアッホ!!1」というマンガがありまして
私はカントクと定岡クンが好きでたまらなかったのですが「君たちはどう生きるか」にも同じものを感じました。
違うと思いますか?
ふざけているわけではありません。
若い方ならこちらをおススメしましょう。
「ワンパンマン」のジェノスとサイタマです。
「1・2のアッホ!!」と同じジャンプなのが気になりますが「学校ではない師弟関係」というのが私はものすごいツボなのです。
もちろん男同士ばかりでなくペパーミント・パティとマーシーも大好きです。
さらに夏目漱石の「こころ」も好きに決まっています。
てか、「こころ」あまりにもツボ過ぎてたまりません。
さすがは夏目漱石、萌えを熟知しておられます。
要素はおじさんと若者であること(パティとマーシーはちがうけどさ)
作品によって違いはあれど感動して突っ走る、若いほうがおじさんを庇護する、などなどの差異もそれぞれ異なる味わいポイントとなっております。
そうした私の『師弟萌えシリーズ』に新たに「君たちはどう生きるか」がめでたく加わることにあいなりました。
この作品を「つまらない」「内容が浅い」などと言っているあなたはきっと『師弟萌え』オタクではありませんね。
「いやそんなのどーでもいーし」という声は聞こえますが私は完全に無視します。
「人生をどう生きるか、考えよう!そしてなにかをつかんだ時喜びに悶えて走り出すのだ」