古い家に長い間住んでいるので色々なものが目に見えて劣化していきます。建物そのものの歪みはどうしようもないとしても、壁紙がはがれ床の表面が腐食しているのは自力でなんとかしたくなってきます。そのままにしていても生活はできますがなんといっても精神が辛くなってくるのです。
財力があれば業者を雇うとか自力でするにしてもお洒落で高価な素材を選ぶ楽しみもありますがそんなことはとてもできない状況なのでとにかくできる範囲内で誤魔化して補修していくしかありません。
まあ一種の「日曜大工」といってもいいのでしょうけど、私には日曜日(休日)がないので「毎日ちょこっと大工」です。どういうわけか、そういうものなのか、我が家は夫がまったくそういうことに興味がなく女の私がほぼ大工仕事をしております。
「日曜大工は男の仕事」みたいな考えはもうあまりないのでしょうね。DIYはかなり女性向けを意識している気がします。良いことですね。
おかげで工具も増えました。背が小さいのですごく大きな三脚も買いました。普通のだと手が届かないんです。
一度に全部はできませんから少しずつ少しずつやってきました。
照明もいかにも昭和の電灯だったのをできるだけ安価のLEDライトに変えていきました。なにしろ天井が昔風のやつなのでそこから問題でした。
壁紙は経年ですっかり汚れまくっていましたので最初シミを落としていたのですが結局壁紙を張り替えたがいいと思って張り替えました。
障子は破れまくっていたので今は「破れない障子紙」みたいなのがあるのでそれを使用。
ふすまも張り替え。
私としては障子とかふすまとかじゃない方が良いんですが根本的に変えるのも大変なので。
最後に残ったのは日常使う階段の壁紙、ぼろぼろに垂れ下がっていたのを引きちぎって捨てようとしたのですが、なにしろ脚立も使えない(使いにくい)場所でどう考えても手は届かない。
かなり以前業者さんが壁紙を貼ったのですが(私注文じゃないのです)かなり雑な仕上がりですぐにめくれ始めたのにも関わらず怖ろしく強力な接着剤を使っていたので引きちぎるのにも手こずりました。
物凄く汚い剥がし跡が残ってしまい、どうこすっても落ちず、なにしろ手が届かない高さなので綺麗にしたくてもできないのです。
かといって一面剥がし残った壁紙を毎日眺めるのは気が滅入ります。
できるかどうか不安でしたが長い棒の先で壁の最上部に張り付けタイプのフックを幾つか取り付けてそこから壁紙を垂らす、という方法で汚い壁の目隠しを考えました。
どっちかというとタペストリー的な感じでしょうか。
最初とてもうまくできて綺麗に仕上がったので「意外と簡単にできた」と満足していましたがそれからが地獄でした。
ほどなくして張り付けフックが次々と落ちてしまったのです。
壁自体がしっかりしたものではなくベニヤ板のようなやわなものだったせいもあったのでしょうか。
業者さんがべたべたに接着剤をつけていたのもこのぶよぶよした壁のせいだったのかもしれません。
張り付けフックが何度やってもうまくいかずいくつも無駄にして心が折れてしまいそうでした。いや実際腐りきってしまいました。
手が届けばこんなバカなことはせず釘を打ち込むこともできますしそもそも壁紙を貼れるわけですが、どうしようもない数メートル上の壁をにらみつけるしかありません。
何度も「忍者のように壁を這っていけたら」と思いました。
ついに手に取ったのは「火であぶって張り付ける接着剤がついたフック」
これも手に届く場所ならすぐ試したのですが棒の先につけて張り付ける、という離れ業でやるには怖くてできずにいましたが、もうこれしか試すものがありません。
フックばかり何十個も買っているのもアホらしいのでついに意を決してライターであぶってフックを棒の先につけて壁にそっと貼り付けました。
途中で頭の上に落ちてきたらとんでもなく熱そうです。
やや位置が曲がりはしましたがどうにか貼り付けられました。
さすがに単なる接着剤より強力だったようでそれから前述したように壁紙を垂らしましたが今のところ落ちては来ないようです。
この暑い夏いっぱいこの「手の届かない階段の壁に壁紙をなんとかして取り付ける作業」をし続けていました。
ただでさえ暑かったのにこれ以上ないほど汗をかいたひと夏でした。
出来上がりは・・・素人が思い付きでやった割にはなかなか綺麗に出来上がったのではないかと自負しております。
一応小汚い剥がし残しは隠せてますし、ほとんど家族以外階段を使う者はいないので自己満足で良いでしょう。
昨日はすっかり変なものをため込んでしまったキッチンのシンク下をふうふう言ってかたずけて棚を取り付けていました。
天井まで伸び上がったり床をはいずったり大変です。
雨漏りした天井を綺麗に張り付けたり西日が強い窓に日よけを張ったりとなんとなく虫か鳥が懸命に巣作りしている様を思わせるかもしれません。
生きている間ずっと補修し続けていくのでしょう。