映画『ダークナイト』について書きたいのですが、その前に「ダークナイト問題」について少し書きます。
ついこの前聞いたばかりなのですが東村アキコ氏が「ダークナイトを語る男は公害」と言ったというアレですね。
私は人間づきあいがほぼ無いのでこうしたイライラはあまり感じずにすむのですが、確かに事あるごとに『ダークナイト』を褒めたたえる男性がなんとなく一定のタイプであると思うとイライラしそうですね。
そしてこれに関するネット記事を読んでいるとよく見かけてしまうのが「男脳と女脳は違うから」とか「なぜ女はヒーローものが嫌いなのか」という文章なのですが、それはちょっと検証不足です。
なぜなら『ダークナイト』及びヒーローもの、というのは男性向けの男性主人公ヒーローものなのであって女性向け女性主人公として作られていないからですね。
では女性向けの女性ヒーローものであれば?
それはジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデスロード』が男性にはあまり受けず女性からの支持が高かったことを見れば明確です。
では他の「女性向け女性ヒーローもの」(って「ヒロインものじゃダメなのがなんとも)がすべて女性に受けるとは限らないのは女性が主人公であっても本当に女性向けには作っておらず男性に見せるための女性ヒーローものだったりするからで、ジョージ・ミラー監督のようにどの映画を観てもヒロインが活躍しているような精神と主義を持っていないからだと思います。
とにかく「女脳はヒーローものが受けつけない」「男はアクションヒーローものが好き」とか言うのは『ダークナイト』をそのまんま女性と男性を入れ替えて作ったものを見て心底好きなのかどうかを確かめてからしか言えないと思います。
しかしこれは所詮空論でしかありませんね。
そんなことをするわけもないし、やはりどこかで女性と男性は違うのですからそのまま反転できるわけでもありません。
『ダークナイト問題』よくよく読んだり調べたりしたわけではありませんが『ダークナイト』でやっぱり男はサー、とわがことのように悦に入ってる男を見ると女はイラっとしてしまう、ていうのはわかる気がします。
『ダークナイト』本当にちらとも女が活躍しない映画なんですよね。
これを好きという男はやっぱり男性至上主義者なんだと思いますよ。
公にしているか、隠れ、かという違いだけで。
私も以前はこういう男ばかりの男性的な映画が大好きだったのですが、最近やっとそういうカラクリが見えてきたように思えます。
男だけの話ではなく女も描いていない作品に魅力を感じなくなりました。