ガエル記

散策

『美しい絵の崩壊』アンヌ・フォンティーヌ

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アマゾンプライムにて鑑賞。
原題は『Two Mothers』レズビアンなのでは?と言われてしまうほど仲が良く、少女時代からの友情を互いが結婚しそれぞれの息子が成長してからもなお離れることのない二人の女性の物語です。

 

ネタバレです。

 

美しい海辺での夢のような生活。

二人の女性(ナオミ・ワッツロビン・ライト)どちらもブロンドで美しい。その息子たち(ブロンドと黒髪)をもすらりとして美しく成長していて二人の母親は「わたしたちの息子は良い作品ね」と自慢し合うほど。

そんな美しい母親二人と互いの美しい息子たちが性愛関係になってしまうという物語です。

 

ひたすら美しい海と風景綺麗な住居、中年とはいえ引き締まった体の美しい母親たち、そして彼女たちが誇る神のように美しい息子たち。

片方の夫は早く死んでしまい、片方は別居中というシチュエーション。

母親たちは強い友情で結ばれている友人の息子と性愛関係を持ち認め合っています。他の男が片方の母親に言い寄りますがその関係を壊すことはできませんでした。

 

いったいこの映画はなんなのでしょうか。

 

 

親子ほど年齢の離れた男女の性愛作品(実際に親子の掛け合わせなんですが)という設定は男性監督によるこの逆パターンの物語ならこれまで数えきれないほど作られてきました。

45歳の男と20歳の女というパターンですね。

しかし45歳の女と20歳の男というパターンはどれほどあったでしょうか。

 

この映画は女性監督作品で原作も女性です。男性監督が作ってきた年取った男と若い女性の逆パターンを作って復讐をした、ということでしょうか。

しかしことはそう単純ではないように思えます。

日本ほどではないとしても社会は男中心男視点でありその中で年取った女と若い男の関係は年取った男と若い女の関係とは違ったものになるはずです。

 

美しい息子たちはそれぞれ妻と娘を持つことになり一見幸福な大家族、おばあちゃんと夫婦と孫娘という関係を築くことになるのも女性中心社会を描くからでしょうか。

 

そして女性が複雑な人間関係恋愛関係を描くのは古今東西変わらないのかもしれません。

それでも幸福を見つけてしまうのも女性的な視点のように思えます。

 

もともとはレズビアンではないと思っている(思い込んでいる?しかしそういう関係だってあるはずですね)母親である女性ふたりが恋人同士でありさえすれば何の問題も起きなかったはずなのですが、しかしこれも昔からよくある強い絆で結ばれた男同士の友情物語にはよくあった話ですよ。

ゲイであるかのように仲の良い男同士が決して肉体関係はないままに強い友情を持ち続けている、というのはむしろ美談としてよくありました。

 

 強い絆で結ばれた女性同士ならばどういう経過をたどっていくのか、を描いた映画作品なのです。

世間一般の規範とはずれていても美しく幸福な時間を持ち続けていた男女4人が規範を取り戻すことで一旦関係を壊してしまう物語ですが母性を持つ女性の世界は結局もとどおりとなって再生したと私は思いました。