アマゾンプライムにて鑑賞。吹替で観ましたが字幕もあります。
とんでもないことが起きた時に時間をさかのぼって出来事を変えてしまう、という話は数えきれないほどあるけどその発想自体は好きではないです。
しかしそれでも作品が作られていくのはどうしても人間は「あの時あんなことをしなければ」という考えをやめられないし、それによって状況がどう変わるのだろうかという思考実験が面白くて仕方ないからなのでしょう。
そういった好きではないはずのこの作品を私が観てしまったのは宮台真司さんのYouTubeで本作が語られていて興味を持ってしまったからなのですが、結果とても面白く観る機会を与えてもらって良かったと思いました。
いや、実はタイムリープもの(タイムリープというのは和製英語なんですね。確かにリープって変。たぶん筒井康隆がらみ)って面白くなってしまうのは判っているのですよ。
人間関係や起きた出来事を深く考えていくのにこの仕掛けはとても有効なのだと思います。
同じ出来事を関わった人々のそれぞれの視点で語ると面白い、わけです。
ただ本作は他の方が言われているようにラストがちょっと物足りなくて途中で終わってしまった感が甚だしい。今どきの連続ドラマに必須の、セカンドシーズンを作るための仕掛けなのかもしれませんがあまりにも半端すぎる気がします。そこまでのミステリーとサスペンスの盛り上げ方がよかっただけに余計肩透かしを感じさせられてしまうのです。
もうひとつ出だしがあまり魅力的でなくてヒロインの苛立ちに反感を覚えてしまうと本筋に入る前に観なくなってしまいそうな気がします。私はお勧めがあったから乗り越えましたがそういうのでなく観始めていたら第一話目でやめたかもしれません。
なのでもし観ようと思われたのなら我慢して第二話目まで進んでください。
それとこれはもう全編なのでしかたないロトアニメ。これがダメならもう無理かもしれません。
一旦俳優が演じた後でその輪郭をなぞって映像にする、という形式は何の意味があるのでしょうか。未だに判らないでいるのですが、やはり「現実のような夢想のようなそのはざまにある」というのを映像化すれば「実写とアニメのはざま」というロトアニメがそれにあたる、ということなのかもしれません。
事実とても不思議な感覚で観ていくことになるわけです。
日本では特にデフォルメしたマンガ・アニメが受けますのでロトアニメといえば私は『惡の華』しか思い出せません。かなり魅力のない画面だったと記憶していますが、これも人間の深層心理を追求した物語で、絵に対し「もう少しどうにかならないのか?」と思いながらも物語はとても面白く最後まで惹きつけられて観てしまいました。これも現実と夢想のはざまにあったような感覚でもありました。
さて『アンダン』いや、タイトルもカタカナでアンダンって日本人としては何のことやらよく判らないですね。
『アンダン』のヒロインは自我が強くて思ったことをすぐ表面化言語化してしまう性格なのですが、だからこそ「やり直したい」物語が効いてくるのです。
そして事故死してしまった父親の幽霊というより「念」みたいな感じでしょうか、父の「残留思念」に導かれて父の事故の謎、父を殺したのは誰なのか、を探り当てていく、というこれはとても面白い発想だと感じました。
若干ヒロインの強すぎる自我に辟易する感もありますが彼女がネイティブアメリカンの血統であることも絡ませていて惹きつけられます。
『バック・トゥ・ザ・フューチャ―』を取り上げて「白人の時間ルールとは違うんでしょ」という台詞はおかしかったです。
この作品は2019年製作なのでしょうか。このラストにした以上はセカンドを絶対作ってだきたいものですね。もにょるってやつですよ。