ガエル記

散策

『シッコ』マイケル・ムーア

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アメリカ&日本での公開は2007年なのですでに13年が経過しての初鑑賞です。

アメリカ医療制度は変わったのでしょうか?

 

日本での反響は少なかったということですね。まあ、自分に関係ない話、としか思えないので当然でしょうし、ドキュメンタリーとしてのやり方もいつも通りの定石を踏んだものなので作品自体の目新しさもなかったからでしょうか。

 

ネタバレです。ご注意を。

 

 

 

それでも生命にかかわる恐怖であるはずの医療問題がこんなにも劣悪であることには驚きですし、最近wowowで放送されている『ニュー・アムステルダム 』は2018年からのドラマですがここでも「保険に入っていないので治療・手術が受けられない」という会話が出てくるそうです。(観てはいないのですが)

並大抵のホラーよりもこちらの方がよほどぞっとする話に思えるのです。最新医療も医師も目の前に存在するが死にかけている国民が医療を受けられない。

 

『シッコ』はマイケル・ムーア監督お得意の笑いを交えながらブラックユーモアを全面的に仕掛けるいつもながらのドキュメンタリーです。

アメリカ国民では医療保険に加入できずにいる人々だけでなく加入しているのに様々な条件を突き付けられ医療を受けられずにいる人々がいるというのです。

アメリカの医療制度は国民のためにあるのではなく医療関係者たちの利益のためにのみ存在しているとも。医療保険制度そのものが医療を受けさせないためにあるのだと。

保険額を抑えるために癌であっても「あなたは癌ではないですよ」という診断をくだす。もちろん患者はそれ以上の治療を受けられず死ぬことになり、そうした医師ほど保険会社から評価されるのでした。

 

アメリカに住む善良な国民、そしてあの「911」で活躍した消防隊員やボランティアに参加した人がそのために健康を害して医療を必要としても政府からの援助はなく長い間苦しみ続けている人々もいるというのです。

ムーア監督はそうした人々を引き連れてキューバへ赴きます。

アメリカでは高額な医薬がここでは驚くような安価で買えてしまう。何十年と薬代で生活を圧迫され続けた女性は思わず泣いてしまいます。

自国では放置されつづけてきたアメリカ人たちが悪魔の国とも呼んで恐れたキューバで適切な医療を受けることができた、という痛切な皮肉をムーア監督は描いてみせました。しかもその敵国の消防隊員たちは「911の際には我々も駆けつけたかった」と言いその時の英雄に敬意を示す場面には心を打たれました。

 

そして最後にこれで良いのか、わが愛するアメリカよ!という大きな呼びかけで終わるムーア・ドキュメンタリーでした。

さてアメリカはこの時からどれほど変わることができたでしょうか。

 

 

さらに我が国・日本では?

 

 今現在、コロナウィルス対策で迷走している日本医療ですが、これは医療というより政治の介入で迷走しているわけですが、結局は私利私欲によるものです。

アメリカでも日本でも「上層部」と呼ばれる一部の人々の利権・強欲のために市民は死ぬことになる。

 

コロナを乗り越えることはできるでしょうか。