萩尾望都の魅力的なキャラと言えば、無論最初に出てくるのは『ポー』のエドガー『トーマの』のユーリやオスカーなどクールで大人びたイメージのものでしょう。
初期中期の男性キャラはそうした知的で落ち着いたかっこよさに惹かれたものですが萩尾氏の後期になると妙におたついた男性キャラが登場しだしてきます。
もっとも明確に描かれているのは『バルバラ異界』の渡会さんでしょうか。主役でありながらいつもびくびくおどおどしている姿が逆に共感できる存在だと思います。
息子のキリヤくんは昔の萩尾キャラらしいクールな美少年なのでお父さんの慌てふためいている様はより強調されているようです。
こうした「おたおたキャラ」というのは萩尾望都が生んだとても魅力的キャラだと思います。
萩尾キャラと言えば昔は「クール」と書きましたがその頃からもおたおたキャラも萩尾氏は好まれていたとは思います。
エーリクはおたおたキャラの初期型というべきでしょうしもっと遡れば『キャベツ畑の遺産相続人』の校長先生でしょうか。
この校長先生はびっくりするとうさぎになってしまう、という物凄くステキなキャラクターです。
おたおたしている男性キャラ、というのは可愛くていいものです。もちろんいざという時は決めて欲しいものですが。
萩尾氏のおたおたキャラがはっきりしてきたのはいつでしょうか。
『メッシュ』に登場する男性デザイナー・オズは思い悩むおたおたキャラですね。
『王妃マルゴ』のシャルルはおたおたキャラの真骨頂とも言うべき存在だと思います。むしろかっこ悪いキャラには違いないのですが私はこの作品でシャルルが大好きでした。
「おたおたキャラ」というのは一般的にも認識されているものでしょうか。よくわかりませんが萩尾望都の「おたおたキャラ」は絶品であると言い添えておきます。