九州人なのでやっぱり気になって手に取ってしまいました。
九州生まれ作家だけではなく九州が舞台である、など九州にゆかりのある著作が集められています。
九州出身作家、というだけでも凄い名前がずらりと並びます。
村上龍、松本清張、夢野久作、石牟礼道子、五木寛之、下村湖人、萩尾望都、檀一雄、北原白秋、火野葦平、福永武彦、赤川次郎、内田春菊、北方謙三、帚木蓬生、松本零士、長谷川町子。
もちろんこの本に載った名前だけを挙げたのでもっとたくさんあるのは確かです。
他にも辻仁成は東京生まれでも福岡のイメージが強い作家ですね。
遠藤周作も東京生まれと記されていますが『沈黙』では長崎、『海と毒薬』では九大医学部という舞台を選んでいます。
一ノ瀬泰三はフリーカメラマンとしてカンボジア内戦の中アンコールワットに単独潜入して消息を絶った人で映画にもなっています。
また野田秀樹が長崎生まれだったとは知りませんでした。
こうした名前は愛読した方もあり、有名ということで知っている場合もあるのですが、それ以外の知らなかった名前に興味を惹かれました。
郭沫若。という人物を私はまったく知りませんでした。彼は中国四川省の生まれで日本の九州帝国大学医学部で学ぶのですが腸チフスを患い難聴になって医学の道を諦め元々志していた文学の道に進んだそうです。
が、日本女性と結婚し子供を抱えた彼は中国人ということで福岡の町では酷い差別に苦しみます。
彼が帰国前に小説を書いたのは佐賀県の熊の川温泉だったということですがこの地は彼に少しでも良い場所であったでしょうか。
彼は帰国後周恩来の側近として日中友好に尽力されたそうですがそれからの人生はどのようなものだったのでしょうか。
熊の川の自然は遠い故郷を思い出させたと書かれていますが、日本の小さな山村と中国の広大な自然を思うとちょっと首を傾げてしまいます。
彼が最後滞在したのは今はもうなくなった新屋旅館という所でした。