『一月万冊』で安冨歩教授と清水有高氏の対話でアリス・ミラー著『魂の殺人』を知りました。YouTubeで両氏はこの本について何度となく触れておられます。
思うに最も恐ろしいことは自分の親が恐怖の存在であることです。絶対に抵抗のできない子供時代そして他の情報や知識がない時期に唯一の(としか子供は思っていないのです)保護者である親から受ける行為は避けられるはずがないのですから。
安冨・清水両氏は自身が受けていた過去と重ねながらこの本について語っていました。
私自身は両氏のように苦しい過去はないのですが、自分の子供に対して果たして良い親であったのだろうかと考えてしまいます。
安冨さんも言っておられますが私たちが今一番大事にしなければならないことは子供を守ってやることだと思います。
適切な良い教育、子供を育み守るための施設など考えることは多くありますが、子供を養育していくのはまずはその両親であるのが現在の状況です。
その両親たちが完全な養育者であることなどあり得ないしそんなことを望むのは無理でしょう。
しかし誤った方向へ行きそうになってしまうのを止めより良い道へ導くことはできるのではないでしょうか。
こども養育・教育するための教育は必要です。
がここでも難しいのは「正しい教育をするための正しい教育」など今はなにもないに等しいことです。
未だに日本では「体罰は必要か」などということの是非を問うている時期です。
家父長制がいまだに生きていて子供は親の庇護下にある、というのが現状です。父親から性的暴行を受けてもその処罰が軽いのは当然という国家なのです。
日本の子供には人権もなく政治や経済に関わることも許可されていません。
例え親からの虐待があって逃げ出してもそれは「家出という非行」として扱われてしまいます。
児童虐待のために親から子供を引き離すのがどうしても困難でありそうした子供を保護するべき施設も十分な環境ではない現実があります。
そうした社会でいったい子供たちをどうやって育てていくことができるのでしょうか。
そして親と子供、養育と教育は連鎖しているものです。
どこかで完全に切り替えられるわけでもありません。
できることは少しずつでも良い方向へと進んでいこうという意志だけなのだと思います。