ガエル記

散策

『エスケーピング・マッドハウス』カレン・モンクリーフ

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アマゾンプライムにて鑑賞。アマプラでの紹介文がネタバレだと苦情が寄せられていました。

私はなぜかまったくそれを読まずに観たのでネタバレは避けられましたがそれほど知らずに観てよかった~!!というほどでもない気がします。

ではこの記事でもネタバレしますのでご注意を(笑)

 

 

 

鑑賞中妙に区切りが入るので途中でテレビ映画だと気づきました。内容もテレビ映画的なわかりやすさで作られています。

舞台は1887年、アメリカニューヨークを流れるイースト川にあるブラックウェルズ島(現・ルーズベルト島)にある女性用の精神病院。

ヒロインは名前しか覚えていない記憶喪失の若い女性。彼女は記憶がないだけで精神に異常があるわけではないのだがどんなに説明してもわかってもらえない。そして彼女はそこで恐ろしい数々の治療をうけることになるのですが・・・。

サディスティックな女性院長、彼女に服従する3人の看護師と数人の男たち。そこへ赴任してきた紳士的で優し気な医師はネリーの聡明さに気づき好意を持っていく。

しかし、いやそれがためか彼女を救いにきた男性に「彼女はもうここを出ていった」と嘘をつくのだ。

その後ネリーは少しずつ記憶を取り戻し、実は自分が悪評のある精神病院に潜入した新聞記者であったことを思い出す。

 

彼女はもしかしたらアメリカでは歴史上の人物の一人であるのでしょうか。

映画中でネリー・ブラウンと名乗っていた彼女の本名はネリー・ブライ。80日間世界一周が本当にできるかに挑戦した女性記者のひとり、といえば知っているかもしれませんね。

  

そこで疑問が湧いてきます。

果たしてこの作品、この切り取り方がよかったのでしょうか?

 

昔の精神病院の異常な治療法、という設定の作品はかなり多くあります。ミステリー仕立てで恐怖を煽っていこうとしてもすでにいくつも同じような設定を体験済みなのであまりハラハラ感がありません。異常性格者の女性院長も哀れさのほうが際立っていてなぜ彼女も救えないのか、という疑問もぬぐえませんでした。

 

むしろ男性社会の中で立ち上がった女性記者ネリー・ブライの視点で製作したほうがよりスリリングであったかもしれません。

つまりコロンボ形式です。

観客は主人公がもうすでにわかっていることを知りつつ観ていくというものですね。

どんでん返し形式はよほどの面白さがないと観客は逆にがっかりするものです。

ネリー・ブライの映画化がすでにされていたので別方向の作品にするしかなかったのだろうと推測しますがそちらは日本語版になっていないのでこちらだけを観ればやはりこれをこの形でサスペンスミステリーにするには単純すぎる気がしました。

 

とはいえそうとはいっても結構面白く観ることはできました。

しかししつこく別形式がよかったのではと思えます。ネリー視点がすでに作られているのなら院長視点でもよかったのじゃないのかなあ。もしくは看護師視点とか?

しかし善良そうな医師、というのはむかつくキャラクターでした。ほめる意味で最悪最低ですね。