原作スティーブン・キング、監督デヴィッド・クローネンバーグ、主演クリストファー・ウォーケンという好きなもの尽くしの映画なのに未見もしくは失念していたのかもです。
とにかく今鑑賞し終わってとても良い映画だと思いました。
ウォーケンは美貌すぎて上の画像のように正義の味方というよりもむしろ美しい悪魔のように見えますが本作では繊細な心根の青年という役どころをとても魅力的に演じていました。
この主演を彼に決めてくれたクローネンバーグ監督に感謝したいです。
キングはホラー作家として有名で私も大好きですが同時にとても繊細な友情の語り手でもあります。
『スタンドバイミー』が思春期の少年の物語として映画化され名作となり得たのもキングの重要な魅力の一つです。
本作でもそうした人間関係の機微が描かれています。
主人公の事故後五年間の昏睡中に他の男性と結婚してしまった女性を「ただひとり愛している」と思う、家庭教師をすることになる相手の少年への思いやりそして少年の主人公への思慕、主人公を案じる医師への問いかけとその答えから決心するくだり、キングのこうした繊細な感情の交流をクローネンバーグもまた丁寧に描写してくれています。
他のレビューで淡々としすぎで、と書かれていたりしますがだからこそ素晴らしい映画作品になっているのです。
事故で予知能力が身についてしまう、ハサミによる陰惨な殺人もクローネンバーグだからこそ良質の作品となってしまいます。
寂しげな笑顔のウォーケンをずっと見ていられるのもこの映画のすばらしさ。
観ることができてほんとうによかった。