ガエル記

散策

『アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール』マイケル・ラドフォード

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世の中知らないことが多すぎて今まで生きてきたのが不思議ですが今日また新しいことを知りました。

もちろん知ってる方のほうが多いのかも知れないのですがマジで知らなかったので自分に呆れています。

とにかく生きている間に知ったことに感謝するしかありませんね。

ということはやはり映画って大切なのだと改めて思ったり。

 

上の画像を見てもそれほど心を動かされたわけではなかったのです。

「盲目の歌手?奇跡?よくある感じ」としか思わなかったのですがレビューを読んで観なきゃいけないような気持が起きました。レビュー大切です。

 

盲目であり世界最高峰のテノール歌手である、と書かれています。なにしろ何も知らないのでただひたすら「どんな人なんだ?」という思いで観続けました。

 

以下ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

2017年公開の新しい映画ながら至ってオーソドックスな映画作りだったので落ち着いて観ることができました。

 

アンドレア・ボチェッリは1958年生まれで私よりほんの5歳年上なだけではありませんか。つまり生きてきた時代感覚もそう変わらないわけです。

生まれつき目の病気を抱えていた彼は12歳の時サッカーボールが当たった衝撃で悪化し失明してしまいます。

この時の彼のお母さんの嘆きが悲痛でした。

そして彼は生まれついて素晴らしい歌唱力を持っていてボーイソプラノで人々を魅了するのですが変声期を迎えた折「もう歌えない」と挫折してしまうのです。

 

ボチェッリの父はワイン製造をしているという説明があります。アモスアンドレアのこと)に馬を与えたり音楽室を作ってあげるなどのゆとりはありますが大金持ちでもない、という感じなのですね。

だからアモスはいろいろなバーでピアノを弾き歌を歌って生活をしていくのですがそんな中で再びオペラに惹かれていくのです。

友情や恋人の愛情、彼を教育したマエストロとの師弟愛が語られていきます。

エストロの教えは「沈黙が美しい声を育む」というものでした。

 

この歌の特訓場面は私が観るとどうしてもカンフーの修行と重ねてしまうのはいけないことでしょうか。

しかし道を究めていくのは音楽であれカンフーであれやはり師の厳しい教えと深い愛情そしてそれを受け止め鍛錬をする弟子の努力から生まれるものであるのは確かでしょう。

パヴァロッティ(さすがに彼は知ってます)と流行歌手ズッケロとの共演を持ちかけられ浮かれたものの一度その約束は反故にされてしまいます。

失意の中で彼は苦しみ最愛の人にも辛く当たってしまいますが数年後再びチャンスが訪れ今度こそアモスは華やかな歌のステージに上がることができたのでした。

 

ファンが押し寄せ次々とコンサートが続く鉄道の旅の途中でアモスは愛する妻に「ここで降りてしまおうか。何もかも捨ててこの町で暮らそうか」とささやくのです。

もちろん彼は歌い続けていくのですがこの言葉が彼の魂を表すようで心に残る場面でした。

 

下は師匠が弟子に気を送っている場面ですw

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いやほんとうに呼吸、タイミングを伝えているのでしょう。

素晴らしい場面です。