ガエル記

散策

『マネー・ショート』アダム・マッケイ

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原題『The Big Short』邦題『マネー・ショート』では何の意味だかわかりません。邦題の酷さには慣れっこではありますがあまりにも酷い。せめて上の画像の著書のタイトル『世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち』にしていればよかったはすなのですが。いつも謎です。

 

さて内容は2005年前後のサブプライム住宅ローン危機を描いたもので被害を受けた庶民側ではなく金融世界の視点であり業界用語が飛び交う作品になっています。

なので私などには理解し得えたとはとても言えないのですがそれでもとにかくたどり着いたのは「本当の幸いとはなんだろう」ということです。

 

真実は詩に似ている、ほとんどの人が嫌いだ

 

という言葉が作品中に出てきます。思想家の言葉ではなく単に〝バーで耳にした言葉”です。

なんとなく深みがありそうですが事実はどうなのでしょう。

「金融世界での真実」ならばそうなのかもしれませんが「ほんとうの真実」はまさに死であると同時に人々が求めるものではなかろうか、とも思います。それは「ほんとうの幸福」だからだと私は思うのですが。

 

金融世界のドラマを観るのは面白い、と感じてしまう私もいるのですが「この世界には絶対に幸福がない」と感じてしまいます。いわば怖いもの見たさで観てしまうのです。

幸福は小さな世界にしかない、と思っています。

 

この作品を製作した人たちも面白さを感じながら後ろめたさもあるのでしょう。

若者コンビが金融のカラクリを見つけた、金儲けができると大喜びでふざけた踊りをし始めるとブラピ演じるベン・リカートが「お前たちはなにをやったかわかっているのか。これで何万人の人々が失業するんだ。ふざけるな」と怒りをあらわにします。

ここに映画製作者のせめてもの謝罪が込められている気がします。

とはいえそれならば関わらねばいいのにとも言えます。

まあ彼が関わらなくとも誰かが関わるのですが。

 

ほんとうにこうした世界とはできるだけ関わりたくない、というのが本音です。

そういいつつ怖いもの見たさで観てしまう自分もいるわけですが現実には関わりたくない。ホラー映画は興味で観てしまうけど実体験はしたくないのです。

 

ゲームにはまってしまう、というのはそれがなんであれ恐ろしいことなのですね。

 

小さな世界で暮らしたい。