『進撃の巨人』で重要なエピソードは数々ありますがこの「エレンで穴を塞ぐ作戦」は絶対落とすわけにはいかないものです。
ネタバレしますのでご注意を。
50メートルの高さを持つ城壁の外には人間を捕食する巨人たちがいるという世界にエレンたちは生活している。
とはいえ百年の間、城壁内での生活は平安ではあった。そんな小さな幸せの中でエレンと親友アルミンは外の世界にあるという海を観たいという願いを持っていた。
がある日、町の城壁には超大型巨人の蹴りと鎧の巨人の体当たりによって巨大な穴が開き次々と巨人が入り込み人命が食われてしまう事態となってしまう。
母親が巨人に食われてしまうのを眼前で見たエレンは「巨人を駆逐する」という怒りに震える。その誓いとは裏腹に能力に問題を示しながらもようやく調査兵団に加わったエレンは突然巨人化する。
一部の人々はエレンの存在自体を恐れ攻撃するがピクシス司令の発案で再びエレンを巨人化させ巨大な岩石を運ばせ城壁に開いた穴を塞がせることとなった。
が、巨人化したエレンは理性を失い当初の目的は完全に忘れ去っていた。
という展開となります。
エレン・ミカサ・アルミンという幼馴染でもあり他につながりが薄いためもあって強い友情に結ばれた三人組が訓練の中でさらに仲間ができピクシス司令という知性ある老兵にその才能を見出される展開は胸アツと言えます。
そしてなにもかもわからないまま再び巨人化したエレンがまったく巨人の体を扱えず巨人のうなじでうとうとと昔の幸福だった思い出にひたっているというエピソードを諌山氏はどうして考えついたのでしょうか。
しかも巨人化したのに夢を見ているエレンを守護するため他の兵士たちは次々と巨人に食われ死んでいくという地獄絵図。
そこでアルミンは急所をはずしながらエレンを刺して覚醒を促すのです。
この「ミカサと一緒に母親がご飯を作ってくれていて父親もくつろいでいる幸せな家庭でぬくぬくと居眠りをしているエレンのそばの窓ガラスを叩いて起こそうとするアルミン」という構図は悲しくもあります。
できるものならそのまままどろんでいたいはずのエレンはアルミンの呼び声で覚醒し巨人化した体を使って大岩を運び城壁の穴を塞ぐことを成し遂げます。
このエピソードは「人類が初めて巨人の侵攻を阻止した快挙」と称されますがその人的被害は甚大なものでした。
現在まさにウクライナがロシアという巨人の侵攻にさらされ多くの人命が失われているのですが現実ではその人命被害は留まることもないのです。
私たちは『進撃の巨人』で戦争の恐怖と悲劇を味わったのですが現実の戦争は終わることがないのですね。
エレンはアルミンの知恵によって目覚め穴を塞ぐことができましたが現実の私たちは穴を塞ぐ知恵をどうしても持つことができないようです。
目覚めさせるべきはプーチンなのか、それとも別にいるのか、それすらもよくわかりません。
そして穴を塞いだ直後の危機にさっそうと登場するリヴァイ兵長。
何を隠そう私はミーハーにもリヴァイが大好きなのですw
ミカサも大好きなので私はアッカーマン支持者・・・というのはちょっと先走り。
この後のエレン裁判のリヴァイキックは最高です。
アニメ。やはりWITSTUDIO作画は素晴らしいです。
背景もアクションもWITはMAPPAよりもなめらかで深みがあるのですよね。
逆に言えばここまでのクオリティを保つのはまさに地獄絵図だったのではないでしょうか。
MAPPAが引き継いだのはやや心残りとはいえ最善策だった・・・のでしょうか。