アニメシーズン4のエピソード1はマンガ原作の23巻冒頭からちょうど重なっていきます。
22巻の最後はエレンたちが夢見た海にたどり着いたところで終わっていたので切り替え期として非常に良かったのですがその分突然別の物語が始まったような不思議な感じです。
アニメはここからMAPPAの製作となります。
ネタバレしますのでご注意を。
ここから登場する少女ガビのとんでもない魅力はなんでしょう。
この右翼少女の一途さには惹かれてしまうのはなぜなのでしょうか。
先日たまたま田辺聖子氏が少女期に書かれた日記を遺族の方が出版されたものを読みました。
その中で若き田辺氏は第二次世界大戦期に「たとえ足の悪い私でもいざとなれば手りゅう弾を持って敵陣に飛び込む気合はある」と言う意味の文章を書かれていました。
まさにガビの精神性を表現するのと同じエピソードだったのではっとしました。
他にも田辺氏は我が日本軍の同胞であるナチスドイツ婦人たちに「立ち上がれ」と呼びかけアメリカ大統領の死亡記事に快哉を叫んでいます。
私は田辺氏の小説をほとんどというよりまったく読んでいないので(先日読んだ『ジョゼと虎と魚たち』だけ)氏がどのような人格と思想を持った人物なのかは知らないのですがスヌーピー(アメリカ生まれだ)が大好きなおっとりしたかただというイメージだったので驚きではありました。
戦争は誰をも変えてしまうし真面目な人ほど洗脳されやすいのでしょう。
(思えばスヌーピーは戦闘機乗りではありますが)
猪突猛進タイプのガビに寄り添い見守る少年ファルコが痛々しい。
物語の前半ではだれよりも男らしいマッチョだったライナーがかつてはひ弱で繊細であったことが描写されていきます。その男らしさは人まねでしかなかったとも。
このパートで最も衝撃なのはサシャの死です。
とことん食い意地のはったおかしなしゃべり方の笑わせ役女子が些細な出来事でうっかり殺されてしまうとは。
そしてなによりエレンの豹変。
常に怒りを爆発させ泣き叫んでいたエレンはまったく感情がなくなったかのように冷めた表情になり殺戮を始めます。
エレンにとって巨人=悪を駆逐する、滅ぼすという使命は希望でした。
その希望はもうどうしようもないものへと変化してしまったのです。
戦鎚の巨人を食い新たなる力を持ったエレンの進撃の巨人。
物語はさらに地獄へと突き進む。