ガエル記

散策

『如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜』3

中国の歴史ドラマは数あれ本作ほど格調高いクオリティのものはそんなにはないでしょう。

最初は私が周迅好きだからと思っていましたがそれだけではないはずです。

歴史ドラマといっても戦争などのアクションパートは(たぶん)一切ない後宮のおどろおどろしい出来事のみを描いた物語です。

時代はまったく違いますが日本平安時代の『源氏物語』に重なるものがあります。

とはいえ『源氏物語』はほとんど女性たち同士の闘いはあまり描かれていません。しいて言えば六條御息所が生霊となって葵上を襲うくらいでしょうか。

その点で言えば江戸時代の「大奥」を引き合いに出すべきでしょうけど「大奥」になると華やかさが足りない気がします。やはり日本の「大奥」ものは華美さが無くて物足りない。

腐敗しきった究極の華美と権力争いと男女の愛憎劇の極みを観たければどうしても「紫禁城」となるわけです。

 

8話まで。

如懿=青桜を皇后にできないばかりか格下の側室に据えながらも愛情を示す皇帝ですが一方で琵琶奏者の娘に心惹かれていくという・・・。

皇后をはじめ側室たちは結局たった一人の皇帝の愛情だけが自分の拠り所であるわけでただでさえその愛情を分割するしかないところへ未熟な芸妓が答応として入り込んでくるのはとても辛いことに違いない。

 

そうしたイライラの時期、寒い冬に配分される木炭も足りず冷え性の慧貴妃・高晞月は軽蔑している海蘭の炭を横取りしたうえに無実の罪を着せようとする顛末となる。

ここでまた如懿の才能が展開される。ここら辺はもうミステリーのカテゴリです。

だから好きなのかもしれない。

海蘭を救いに走った如懿を慧貴妃はやりこめようとして逆に皇帝に見とがめられ結果惨敗してしまう。

 

ここらへん、現在日本の経済状況のようでいたたまれない。世界戦略が苦手で日本の中だけで経済を回したい我が国にとって出てくる利益はもうすでに決まっている。その決まった利益をなんとか分配したい私たちは誰かがズルをしないかと互いを監視しあっている。そこへ変な若造(ホリエモン)なんかが入り込んできたら頭にきて罪をかぶせムショ送りにしたっていう話。

 

とはいえ、本作では如懿の機転で解決されました。

 

さらに今回はミステリー三昧。

今度は如懿に玫答応の傷を悪化させる毒を薬に入れたのではないか疑惑が降りかかる。

いつも無口でおとなしい海蘭がこの時は必死で如懿の潔白を証明する。

この展開も見事でした。

 

結果如懿を陥れようとした皇后までが皇帝に見透かされ品位を落としてしまう。皇后の如懿への恨みが増していく。

 

8話、処罰を受けた宦官・李玉の手当てをする場面が美しい。ひとりになった如懿の物思いにふける様は印象的です。