ガエル記

散策

『宮廷の諍い女』その11

安陵容さんです。

68話まで鑑賞。

 

本作と『如懿伝』は続編ということもあるでしょう、非常に似通っています。

ヒロインが万全とはいえないもののそもそも家柄が良くゆえに教養高く優美に描かれ、一方家柄が悪く貧しい育ちの女性がとんでもない悪女となっていく、というのが作り手の思想のようです。これは悲しい事実でもあるしそこに悲劇があるのですね。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

ある意味甄嬛にとって根深い敵であった安陵容が惨たらしい最期を迎えます。

なにもない少女がのし上がっていく物語をシンデレラストーリーと言いますがそもそも彼女の家柄はダンスパーティに招待されるほどの地位だったのですからただ単に美貌で気に入られる物語の意味だけの気もします。

安陵容はとにかく皆から蔑まれ皇帝との初夜で怯えるという失敗をしてそのまま送り返されるという惨めな始まりでした。なにもかもぱっとしない彼女は持ち前の「香」の知識と歌声を武器にして少しずつ皇帝に気に入られ様々な侮蔑に耐え皇后の悪だくみに加担していくことで人生を切り開いていきました。

美声を失った時もくじけず次はなぜかフュイギュアスケートを披露するというぶっ飛んだ特技で再び皇帝の寵愛を引き寄せます。

皇后の手先となっても皇后の嫉妬によって子供が産めない薬を長期に服用させられました。

その後皇后から突然「子供を持つように」と命じられ不妊となった体に今度は妊娠する治療を強要されます。

どうせまともには出産できないと言われながら少しでも長く妊娠せよという恐ろしい虐待の中皇帝から伽を迫られ流産。最も恐ろしいエピソードとしか思えません。

これは『如懿伝』で出世のために最初不妊薬を飲みその後高齢になっても出産し続けたレイ妃と重なります。

最期はどちらも皇帝からの非情な刑を受けるという悲劇です。

どちらもヒロインはこの宿敵を許しません。それは当然の運びですが憐れだなと思ってしまいます。