ガエル記

散策

『四畳半タイムマシンブルース』夏目慎吾 鑑賞完了

楽しみました。

ついつい湯浅監督は、と思いそうになりましたがこれは夏目慎吾監督でしたね。かなり湯浅監督を意識しての作画になっていると思えますがより可愛くなっているのでした。

 

湯浅&夏目監督アニメ、やはり私にはすごくしっくりくるのです。

 

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

今日本アニメで最も普及しているのはマンガ原作をできるだけ忠実にアニメ化する方式のもので私も楽しんではいるのですがこれが中核になってしまうとどうしてもオリジナルアニメを作る力が減退してしまうのだと懸念せずにはいられません。

時々小説を原作にしたアニメが製作されるのですがこれがまったく気の抜けた魅力ない作品になりがちだと感じるのは私だけでしょうか。

とはいえこうしたマンガ原作ではないアニメーション作品が作られなくなってしまうのはそもそもアニメ業界の本質が失われてしまうことではないでしょうか。

 

そんな中でもマンガ原作ではないアニメ作品を作っている数少ないクリエイターもいて尚且つとんでもない魅力を見せてくれるのが私にとっては湯浅&夏目監督だったりするのでした。

 

本作の元ネタ(?)となっているという戯曲&映画は知らなかったのですがテレビで最後の部分だけ偶然のタイミングで観てしまいました。

その実写映画にはそれほど食指が動きませんがなるほどと頷けました。偶然の神に感謝です。

青春映画ドラマというものにはほとんど興味が持てないのですがそういえば本作アニメもそのカテゴリではあるのですね。

青春ドラマ、というのはほんとに退屈だと思ってしまうのですが本作はそうした退屈する感覚がなく楽しめてしまいます。

しかし5話目のラストあたりは夏の夕暮れの少しだけ涼しくなってくる心地よさが画面にも溢れ漂っていて若者たちが奇跡的に美しいひと時に浸っている幸福感があります。

この場面を感じるためだけにでも本作は観る価値がありました。

 

夏目慎吾監督作品、次回がすでに待ち遠しい。どんな作品で逢えるでしょうか。