ガエル記

散策

『チェンソーマン』アニメ8話までと原作第一期

中華ドラマにはまっていたせいもありここで原作再読とアニメ8話まで再鑑賞。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

原作読み返してもあっさりとは頭に入ってこない。

難しいですがそれが楽しいです。

 

 

 

今気になっているのは

「マキマが支配の悪魔だ」

ということです。

マキマは(「キ」を切り取って)ママのことだ、と作者氏が言明されているそうですがではこの作品では

「ママが支配の悪魔だ」

ということになります。

マキマの描き方は極めて優しく愛情あふれるものに見えます。

美しく嫋やかで脅迫したりはしません。

彼女は暴力や怒鳴り声で支配するのではないのですがこうと決めたら譲らない厳格さがあります。

これまで多くの作品で「支配する者」は男性的に描かれてきました。

「強い者が支配する」それは肉体の強さであり腕力であり武器でありそれによって権力が生まれ命令で弱き者を威嚇してきたのですがそうではない支配の形を明確に描いた少年マンガは稀だったように思えます。

(少女マンガではあり得たのですが)

 

デンジはマキマの正体を知ってからも「やっぱりマキマさんが好きだ」と思っているのも母親への愛情を思わせます。ママが悪い人で間違った行動をしていたからといってすぐに嫌いになるのは難しいからです。

しかしデンジにとってマキマさんが求めていたのは「チェンソーマン」なのであって自分自身ではなかった、という事実は辛いものでした。

これも実際の親子関係で母親の求める理想と自分は違うのだと気づく子どもの思いと重なります。

 

本作品はこれまでの様々な作品を思い起こさせます。

「支配の悪魔」と言ってすぐ思いつくのは『カッコーの巣の上で』です。

ここでの支配者・看護婦長のラチェットもまた一見思いやりのある面倒見のよい女性のようでいて患者たちに厳格な規制を課せます。

マキマはほぼラチェットから発展させられているようにも思えます。

(単なる看護婦長が支配権を握っているのが恐ろしい)

 

そして『ヨルムンガンド

武器商人ココの美しさと「武器商人が世界を平和に導く」という思想が重なるように思えます。

黒髪バルメの眼帯と姫野先輩の眼帯姿も似てる気が。

 

おっと、つい『ヨルムンガンド』読みだしてしまった。

 

他にも『少女革命ウテナ』のラスト剣が凄まじく襲ってくる場面『輪るピングドラム』の三人の子どもたち(カンバ・ショーマ・ヒマリ)と早川家の三人の姿が重なるなどの要素が散見されます。

 

もちろんホラー映画などの影響はすでに言及されているところですのでそこはもうスルーで。

 

第一部の終わりのポチタの言葉の意味も考えなくてはならない。

「支配の悪魔の夢もかなえてあげてほしい」

 

ただ打倒するだけではなく夢をかなえてあげる。

凄い話です。