ガエル記

散策

『キャシアン・アンドー』その2

ついに続きを観ることになりました。

多くの人が絶賛する本作ですが予想以上に面白く久しぶりに手に汗握る感覚を味わいました。

キャシアンを演じるのはディエゴ・ルナ

彼は私にとってかつてはガエル・ガルシア・ベルナルの友人という位置づけだったのですがまさかここにきてこんな凄いドラマの主演をするとは思いもよりませんでした。

というのは彼自身の才能が足りないのでは無論なく、アメリカメディアで彼はどうしてもメキシコ人という役割しか与えられないのでは、と心配していたからです。

しかし時は移りアメリカ社会も随分変わってきました。白人アメリカンだけが主役ではないのは当たり前になってきたのですね。

そしてこのキャシアン役はやはり通常のアングロサクソン系が演じるよりルナのような人物がぴったりなのは明らかです。

スターウォーズ』もファーストは思いきりホワイトですがそれ以降変化し続けています。

もともとそのファーストでも衣装が柔道着を思わせたりヨーダは東洋人(というか与田さん)のイメージであったり他にもあちこちに日本テイストがあったのはルーカスの好みだったのでしょうが多様性の片りんは存在していたはずです。

 

そして本作はまさにそうした多様性、弱き者の反逆の物語です。

だがキャシアンは無敵のヒーローではないしスーパーパワーをもっているわけでもない。

展開されるのはこれまで何度も何度も歴史上繰り返されてきた幸福を望む物語でしかない。

なお現実でも私たちはそれだけを望み足掻いているのではないか。

なのにその幸福はどうしても手に入らないのだ。

 

私たち世代がい幼い頃世界は急成長をつづけ誰もが幸福な素晴らしいSF世界に住むものだと思わされた。だけどその理想はまだ遠い先のようです。

この世界でもまだ先のようなのだから。