ガエル記

散策

『選挙』想田和弘

続けて想田和弘監督ドキュメンタリー作品鑑賞。

なんの政治経歴も意志もない40歳男性が突然川崎市議会議員補欠選挙自民党公認候補として選挙活動する様を観察していく。

いわゆる落下傘候補の彼のおたおたと奮闘する姿が映し出される。

 

なんかもうすべて泣けてくる。

なにもかもが形式だけで成り立っていて中身がない。

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

本作のキーワードにもなっている「妻と言ってはいけない。家内と呼べ」

妻というと夫と平等のように聞こえるから家内と言って一歩下がってる感を出さねばいけないのだ。

「家内です。おっかないけど」と言って笑いを誘わねばならないらしい。

すべてがこの流儀で進められていくのだ。

 

おそろしいのは当人の山内氏には何一つ政治への目的も思い入れもないのに「がんばります」という言葉だけで活動していくことだ。

それもいかにも自民党らしい在り方なのだろう。

 

そしてこの頼りない男性が自民党公認候補として当選してしまうのだ。

つまり自民党の後押しがあれば何もなくとも当選できる。

一所懸命がんばりさえすれば。

しかしこれは政治活動なんだろうか。

 

つまり我が国日本には選挙なんてないし政治もないのかもしれない。

ずっとそうなのかもしれないとは思っていたけど以前よりもっと悪化している気がする。

私たちはどうなってしまうんだろう。