
ここから第二話「ガニメドの巻」
ガニメドって木星の衛星ガニメデの間違いじゃ、と思っていたら小惑星ガニメドというのがあったのか。あっぶなーい。知ったかするとこだったよ。
ネタバレしますのでご注意を。
土星衛星タイタンから帰ってきた一色健二はその能力を認められ新しい宇宙探検隊の隊長に任命される。
その探検隊の目的はB座標で行方不明となった宇宙船を探すことだった。
ところが一色の部下となる隊員たちは指折りの腕利きではあるが若い一色が隊長となることに強い反感を持っていた。
そんな中で宇宙船は出発する。(一色孤立しててよく行けるなあ)
まず反抗的大人連は宇宙船の酸素濃度を薄くすることで一色を苦しめる。(子ども相手になにやってんだか)
が、一色はこれを見破り彼らへの態度を強くしていく。舐められたら負けだという気概を持っている。
これ以降も一色は命を狙われるが事なきを得ていく。
レッドシャーク号は行方不明となっているクイーンメリー号を見つけ乗り込むが中に人はおらずもぬけの殻だった。
さらに船に戻る途中で奇妙な物体を見つける。
一色は原子分解砲を用意させて謎の物体に近づく。
表紙のようなすばらしさ。
銃撃しても反応のない物体を一色はロケットに格納して持ち帰ることにした。
その後再びクイーンメリー号を調査するがその間に留守居をしていた隊員のひとり兜の姿が見えなくなったのだ。
一色たちは一つ部屋に集まって就寝し見張りを立てることにした。
これは滅茶苦茶面白い。まるで『エイリアン2』のようだが『エイリアン2』は80年代映画であり本作はその20年前のものなのだが。
建造物のどこかにエイリアンがいるが居場所がつかめず仲間は襲われて腹に卵を産み付けられてしまう、ってそのままじゃないか。
ううむ。SFには同じような設定の作品がいっぱいあるってことなのか。ジェームズ・キャメロンが横山作品読者だったのか。
主人公が孤立していたとこまで似てる気がするのだけど。
(もう一度観なおすしかないか)

第3話「マロー星探検隊の巻」
一色隊長も板についてきた。
今回も指令を受けてマロー星へと向かうがなんと宇宙船内六人の乗組員の中で盗難事件が起きてしまう。
一色は犯人が下田だとつきとめるが下田は実は自分がその双子の弟だということを伝える。脱獄囚だった彼は双子の宇宙飛行士になりすまして今回の任務についたというのだ。
彼には盗難癖がありどうしてもその感情をおさえきれず犯行に至った。
偽の下田は一色隊長の善意も信用することができず無謀な行動をおこして死に至る。
宇宙任務と盗難癖というふたつの設定を組み込むことで面白さが生まれる。
なんだかストーリー構築の手本のようだ。
それにしても間に描かれる場面の美しさよ。

第4話「反乱の巻」
宇宙船が離陸時に爆破され、一色健二が襲われる。その犯人を追った宇宙空軍のロケットが連絡を絶つ。さらに宇宙空軍にはハイモス星でサイボーグによる反乱が起きたという報告が届く。
次々と奇怪な事件が起きる中で一色健二はハイモス星へ調査に出発した。この任務には以前一色に反抗しながらも共に戦い抜いた那須野もいる。彼は今は一色に全幅の信頼を持っていた。
この物語もじっくりと語られていく。
ハイモス星にはサイボーグとなった者たちが二つの派閥となって戦っていた。そしてその心理の裏には地球人への劣等感、不信感もあったのだ。
この物語からは『水星の魔女』を重ねてしまう。
任務のためにやむなくサイボーグとなった人間たち、そのサイボーグを差別する心理、差別される者の悲しさ劣等感、地球人の優越性。そして起きる戦争。
サイボーグになる悲哀をマンガでは繰り返し描かれてきたがさて実際の未来はどうなのだろう。

第5話「宇宙からの帰還者」
パルタゴ星から帰還したロケット・ノアが不時着し爆発する。
その宇宙船には持ち帰ってきた生命体が乗っているはずだった。
向かった救助隊が見た物はロケットから逃げ出した巨大な怪物だった。
怪物に襲われた司令官には宇宙生物から奇妙な病原菌が入り込み錯乱状態になって他の人間を殺してしまったのだ。
が、ノアの飛行日誌にはパルタゴ星のある植物を食べることでこの病原菌を消失できると書かれていた。
折よくパルタゴ星の近くに一色の乗るレッドシャーク号がいたことで一色はその植物を採取する使命が下る。
ここでも一色が率いていたのが腕利き隊員ではなく訓練生だった、という面白みが組み込まれている。
要するに「いつもの仲間」というのではなく物語がつくられる度にレッドシャーク号は一色と他のメンバーたちという組み合わせが作られていくのだ。
むろん一色はいつものように活躍し任務を果たす。
病原菌という設定は一度使われたとはいえこのエピソードにも工夫が感じられる。
ところで疑問なのは本作『宇宙船レッドシャーク』がこんなに面白いのになぜそこまで有名じゃないかということなんだけど。
極論、SFは本格的であるほど日本では受けが悪い、ということなのではないだろうか。
むしろあり程度SFチックな設定にしたら後はバトルになる方が人気が出る。
本作はあまり派手なバトルがなく固定した仲間がおらず主人公一色君は有能ではあるが飛び抜けた何かの能力をもつのでもない極めて実直なSFになっている。
いわば『スタートレック』に近いのだろうけど『スタートレック』にはスポック博士というとんでもない飛び道具がある。
さらに言えば横山光輝『バビル2世』の大ヒットを考えれば超能力少年というスーパーヒーローと固定した三つのしもべ、強力な敵であるヨミを設定してSF要素は極力少なめな方が人気になるのであり本作のような地道なSFは大ヒットはしにくいのだろう。
マンガというとSFのようなイメージがありながら長くマンガ界で「SFはダメ」と言われたのは当然なんだろうなと思いつつ悲しくもある。
『宇宙船レッドシャーク』もう少し評価されて欲しい。