ガエル記

散策

『時の行者』横山光輝 再読 その1

横山光輝に戻ってまいりました。

その第一回目が『時の行者』なのはなんとなくこれも『カムイ外伝』とのつながりを感じたからです。

常人とは違う高い能力を持つ人物が人々を見つめる、という点においてですね。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

 

と言っても市井の人々を見る白土氏と違い歴史的トピックを追いかけていく横山マンガという違いがある。

第一話目が織田信長豊臣秀吉という華やかさだ。

この歴史上有名人物に狂言回し的主人公「時の行者」を遭遇させ会話をさせ行動を見ていく、という手法は誰が始めたのだろうか。

歴史学習にもってこいの手法であり教育テレビでやりそうな演出だけど横山光輝氏の手にかかるとこれがめちゃくちゃおもしろくなってしまうのだ。テレビなら最初から女の子も登場させるだろうけど。

か、ジュン回とリサ回を交互にやるか。

 

閑話休題

そもそもSFなんだから当然なのだがこういうアイテムが楽しい。オーラを見るメガネである。

行者は藤吉郎に予言しさらに十年後、秀吉となった彼にまた予言を告げる。行者の能力を信じた秀吉はそれゆえに行者を殺そうと画策する。

が、行者は鉄砲玉など近づけさせずどこかに消えていったのだ。

 

さらに時が経ち関ケ原の戦い

すでに「時の行者」の存在は言い伝えられている。

石田三成は予言を聞きもせず行者を殺そうとする。

が無論かなわず歴史もそのまま遂行される。

 

時代は江戸時代にはいり有名な「宇都宮の釣り天井事件」が題材として扱われるが有名な事件ということでそれ自体の説明は無くその裏の話が描写される。

洒脱な演出である。

 

駿河大納言の兄弟げんかは昔よくドラマなどで扱われていた気がするが今はすっかり廃れてしまった。

 

そして「島原の乱」これは特筆したい。時の行者は天草四郎に「日本の歴史的な百姓一揆あのです」と告げる。この乱は宗教からきたものではなく悪政によるものだと。

天草四郎は行者の言葉を聞き「最期まで天童としてふるまいましょう。そしてこの人たちの心の支えとなりましょう」と答える。

最後に「徳川幕府は外国からはいってくる自由の思想をおそれ二百年にわたって鎖国をする」と書かれている。

鎖国による弊害は甚だしい。

 

米騒動。これは江戸時代にタイムトリップする話には不可欠。米にこだわりすぎる飢饉でもあるのだろうけど。

 

由井正雪。ここで時の行者の正体がかなり明かされる。

それにしても横山歴史SF楽しい。

そうかなあ?

 

由井正雪は時の行者から話を聞き彼を信じるが計画をやめようとはしない。「わしは謀叛人の総帥としてふるまおう」

天草四郎もそうだったが腹をくくった人間は強い。