ガエル記

散策

『闇の土鬼』横山光輝 再読 その2

横山先生は何故土鬼に七節棍を用いさせたのでしょうか。気になります。

 

 

ネタバレしますのでご注意を。

 

 

絵馬を飾ることで血風党を呼び出した土鬼だったが四人を相手にすることになってしまう。それでもふたりを倒すがあと二人、となったところで大勢の侍姿に囲まれた一人の老人が現れる。

その男こそが血風党の長・無明斎だった。

 

編み笠をかぶった侍たちが大勢いるのがおかしくて。

横山マンガはロボットがずらりと並ぶという演出もありその侍版なのだけど大勢で動くのって奇妙な笑いが生まれるのだ。

 

そしてここで土鬼は霧兵衛に助けられる。

いったい彼は何者なのか。しかし「ともかく梅庵先生のところへつれていこう」という言葉を残して場面は血風党・無明斎に移る。

 

ここで血風党がどのような状況にあるかが説明される。

戦国時代、豊臣と徳川が天下を分けて戦った時豊臣側の重要人物をことごとく討ち倒していったのが血風党であった。

つまり徳川幕府は血風党の活躍によってこそ成されたのだという。

しかし太平の世となった今幕府にとって血風党はもはや必要なくなった。無明斎は自ら造り上げた血風党の行く末を案じ山から下りてきたのである。

 

幕府家老は無明斎を暗殺しようと伊賀忍者を送り込む。

しかし無明斎を守る血風党の前に伊賀忍者はあっけなく殺されてしまうのだった。

 

ここであの印象的な「歌」が歌われる。

「森々、密々戟、柳花水を斬る、草葉征矢を成す、濠をめぐる垣は、これ壮士」と歌いながら次々と刀を振り降ろす。
この歌が吉川英治水滸伝からとられたもの、というのは例によってひらさんを覗き込んでいたおかげで知った。感謝。
これ、絶対アニメで観てみたい場面なんだよなあ。
 
そして霧兵衛は回復した土鬼を連れ出し忍者たちと戦わせた。

普通に立てよ。

 

土鬼は四人の忍者を相手に次々と討ち倒していった。

その様子を見ていたのが伊豆殿と柳生十兵衛である。

 

ここで柳生十兵衛が土鬼の技の見事さを説明していく。

この手法、少年マンガになくてはならない伝統と言える。

 

このふたりの見物者は部下を見殺しにして土鬼の腕を見きわめたのだった。

「決闘」じゃなくて「血闘」(鬼平犯科帳?)とか二コマ目のセリフとか
冴えわたっている。
 
二人が欲しいのは血風党の巻物一巻、そして土鬼の狙いは血風党を倒すこと、同じ目的なら我々の協力を拒む必要はなかろう、と「月鬼」「火鬼」「水鬼」そして霧兵衛の四人を土鬼の護衛につけるというのだ。
しかしこの「伊豆殿」は事が終われば土鬼は四人によって殺されるだろう、それが駄目なら十兵衛殿に、という目論見であったのだ。
 
 
しかしそれどころかこの月鬼火鬼水鬼は土鬼が(鬼ばかり)危なくなってもなかなか助けようとはしない。
霧兵衛だけはなぜか土鬼に肩入れをしてしまう。(そこがおもしろいしキリベエいいよね)
 
さて何度となく横山作品に登場する駿河大納言。外見は曹操似だけど中身はない。
そして宮本武蔵登場。
 
武蔵は土鬼の話を聞き血の騒ぎを覚え決闘を望むが土鬼と戦ううちにその目の光に共感して去っていく。
「心を静めようとしても発作のように起こるこの血の騒ぎ」
「お前も俺と同じように戦わずにはいられない人間なんだ」
生涯において戦う作品を描き続けた横山光輝氏の気持ちにも思える。
 
続けて土鬼は無明斎の護衛をしていた血風党と戦うこととなる。
七人の血風党相手に土鬼は四人の助けてはくれない護衛から四振りの刀を与えられるのみで死闘を繰り広げる。
凄まじい血風党の攻撃で土鬼は体中に深い傷を負う。
そしてとどめの輪が投げられたがとっさに霧兵衛が棒を投げて救ってしまう。それがために土鬼は最後のひとりも討ちたおした。がその直後に自らも気を失い倒れてしまった。
 
 
三鬼は霧兵衛を咎め土鬼のとどめを刺そうとするが霧兵衛はこれも止めて無明斎を追って巻物を奪おうと言い出す。
三鬼と霧兵衛は土鬼から遠ざかった。
がさすがに無明斎から巻物を奪うことはかなわず月鬼が殺されるのを目の当たりにして去るしかなかった。
 
 
ここでひとりの僧侶が現れる。
土鬼の様子を見て助からないと感じたが見捨てるわけにもいかぬと担いで自寺に運び土に埋めたのだった。