張飛を見るだけで嬉しい。
ネタバレしますのでご注意を。
建安二十三年正月。三人の男が国賊曹操討伐の火の手をあげる準備を整え後は決行するのみとなっていた。
王必は酒宴を開いていた。
そこに火の手が上がる。王必の首を求める者たちの声が聞こえ、王必は死んだふりをして逃れ曹休に謀叛を知らせる。
曹休はすぐさま兵を率いて宮中へと駆けた。そして都が赤く燃えているのを見た夏侯惇(その時野営をしていた)も駆け付けたのだった。
三人の計画は帝を動かし「曹操を討て」とのお言葉を賜り近衛兵と共に都に立てこもって玄徳の助けを借りようというものだった。
が、曹休・夏侯惇が続けざまに駆け付けたことで帝は声明を出せず近衛兵も味方にできず反乱軍は蹴散らされてしまったのだ。
謀叛を起こした三人はその一族もろとも処刑された。
管輅の占いを信じた曹操は安堵したのであった。
さてここから張飛の驚くような知将ぶりが堪能できる。
張飛と言えばかつて玄徳・関羽の留守中に泥酔して城と玄徳の母・妻を奪われてしまうというとんでもない失態をしでかした男だが蜀へ来る間に随分と成長したのだろう。残念なのはこの成長が人格にも及んでいればよかったのだが・・・。
玄徳はあの「酒に溺れる張飛」の記憶が強いため危ぶんだがその記憶がない孔明は張飛の才覚を信じることができた。
魏延に美酒を運ばせて張飛の「酔ったふりをして反撃する」作戦を応援したのである。
魏軍張郃は張飛を侮って攻撃を仕掛け惨めな姿で敗走するしかなかった。
曹洪が止めるのも聞かず打って出た張郃は処刑寸前になるが文官らの嘆願で救われ再起の機会を得る。
その後、葭萌関を攻めた張郃は必死の攻撃を行い守る孟達は敗れ成都に援軍を求める。
これに口を挟んだのが黄忠であった。
ここにいる将は張飛ばかりではないと黄忠は苛立ちを見せる。しかし孔明は「あなたはすでに年老いてとても張郃の相手にはなりますまい」と答える。
可愛くて悶え死ぬ。
孔明はこれを認め厳顔(こちらも老将)を副将とするよう命じた。
萌えコンビ
これに趙雲が苦言を呈するが孔明は「少し私に考えあってのこと」と言い返した。
葭萌関では援軍を頼んだのに老人ふたりがやってきたのであからさまに嫌な顔になるw
(まあわからなくはない)
爺様たちの悪だくみ
かわいすぎる。
そして爺TWOは葭萌関から打って出る。
気の毒なのは張郃だ。後がないのになあ。
張郃は出てきた黄忠を老人とバカにして戦うがいつの間にか後ろ側にも蜀軍がいるのに気づく。厳顔だった。
張郃はまたもや敗走したのである。
これを聞いた曹洪は怒るがまたもや助命嘆願が出て援軍を出すことになる。
がここでまたもや爺TWOは策略を講じる。
曹軍は近くにある山に兵糧を蓄えてある。そこを攻め取れば、というのだ。
そして厳顔がそこへ向かう間、黄忠は張郃の援軍に敗けに敗け五つの陣を捨ててどんどん後退していきついに葭萌関まで逃げ込んだ。
孔明はこれは騙兵の計と察したが、不安がる玄徳の意も汲んで劉封を援軍として差し向ける。
到着した劉封を出迎え黄忠は「五つの陣を捨てたのはしばらく敵に貸してやるつもりでござった。敵は今この陣にせっせと食糧を運び込んでいるでござろう」という。そして「食糧がたまりきったところで一気に敵を蹴散らそうと考えてのこと。それが今夜」そして劉封に「ゆっくりご見物なされませ」と大笑した。孟達らもあんぐりと口を開けてこれを聞いた。
さて夜になり溜めに溜めた黄忠の反撃が始まる。
勝ち戦と油断していた敵将たちはかろうじて着の身着のまま徒歩で逃げ出す始末であった。
勢いに乗った黄忠は追撃の手を緩めず一の陣から二の陣、三の陣と落としていく。
黄忠はそれらにため込まれていた食糧武器を葭萌関に運び込めと孟達達に言い渡すと再び進撃していく。そして山の食糧庫へと向かったのだ。
黄忠が攻めてきたと聞いた曹軍はこれを迎え撃たんと飛び出すがこの間に山の上からどこからともなく攻めてきた軍勢があった。
厳顔の軍である。
こうして曹軍大元の食糧庫も黄忠・厳顔の軍によって奪い取られてしまったのである。
老将軍ふたりの活躍で成都では盛大な祝勝の宴を張った。
ここで法正が玄徳に提言する「今こそ漢中を手に入れる好機」と。
曹操の都で内乱が起こり空にはできない。この機を逃してはならない。
玄徳は立ち上がり「漢中平定の軍を起こす」と明言した。
そして黄忠。厳顔に重き恩賞を与えた。
ここでまたもや孔明は一策を講じる。
ここでも黄忠に苦言を呈して黄忠の勇猛を引き出すのだがそれだけでなく趙雲に背後の守りを命じ、厳顔には張飛・魏延と交代するように計らい劉封・孟達には敵の心を惑わす策略を与える。
孔明指揮のもとに漢中進撃を開始した蜀軍。
蜀と魏、ここに再び風雲急を告げた。