19・20巻となるでしょう。
ネタバレします。
袁家の生き残りはあっさりと殺されてしまう。
そして郭嘉の死が近づいていた。
曹操は郭嘉の死など眼中にないが如く話し続ける。曹操は郭嘉に烏丸族の王となることを願っているのだ。
郭嘉もまたその夢があったかもしれないが彼の身体はもうすでに朽ちていた。
最期まで曹操に軍略があふれ出て来ると訴えながら郭嘉は死地へ旅立った。
孫家では後を継いだ孫権が幕僚らの議論を聞いていた。
揚州が曹操と手を結ぶか敵対するか。
周瑜は「曹操との外交はその時のあちらの出方を待ちつつ進めるのが得策」と説いた。
劉表家に居候していた劉備玄徳は劉表の墓前に花を手向けて立ち去ろうとしたが玄徳の目前には玄徳を慕ってきた数十万の民が現れたのだ。
曹操の追撃を感じながら玄徳は江陵へと向かう。
そこにはかつて劉表がひそかに基地を設営し船団と軍需物資兵糧が備えられているという徐庶の言葉に従うものだった。
しかし数十万の民草を従えての移動は遅い。
関羽は一足先に江陵へ赴き基地を押さえることとなる。
曹軍を抑え込む張飛。
そして乱れながらも劉備玄徳に従っていく民草。
張飛は最後の一人が橋を渡り終えるまで曹軍から守り抜きそして自らも橋を渡っていった。
玄徳の子・公徳は父の常軌を逸した生き方に憤る。
が、悟る。
「あの人は心で動いているのではない。人の心を超えた何かによって激しくいきようとしているのだ」
うん。『三国志』物語の中でもっとも不可思議なのは玄徳と彼に従う人々の心だ。
本作ではそれは曹操への恐怖からだと説く。
玄徳自身が大徳なのではなく曹操に反する玄徳の存在が人々に希望を持たせているのだと。
玄徳はかつて劉邦が逃げ延びるために財宝だけでなく子どもすらも馬車から投げ捨てたというエピソードを繰り返す。
「子は枝葉。子は親を生むことはできぬ」玄徳が儒教そのままの倫理を持つ。