1969年「なかよし」9月増刊号(1969年3月)
すてきな表紙です。
初期の萩尾氏は少女マンガ独特の華々しさはないのかもしれませんがそれだけに今観ても逆に古臭く感じないのです。
ネタバレします。
今回の題材はカードマジック。ここでは「奇術」と呼ばれている。
「奇術」を検索したらwikiのマンガジャンルで本作が選ばれていた。
そしてそのカードマジックに恋心が絡んでくる。
主人公のアンは奇術が得意で友人たちに披露している。
それを嘲笑うように登場する転校生のジョーイ。
ジョーイはすばらしい技を見せて「ぼくのは魔法」だという。
アンはジョーイの技術に悔しがる。
かつて、女子よりも男子の技の方が上で悔しい思いをする、という類の少女マンガ作品は多かったように思えるが萩尾作品では女子のアンが気が強く、かといって変な拗ね方もせずカードマジックと恋、という演出でミュージカル的に見せてくれる。
アンがハートのカードを出すカードマジックをしながら物語をするのを続けてジョーイがスペードのカードを出していく展開はちょっとゾクゾクする。
オチはジョーイが魔法のようにマジックが上手いのはアンが憧れていた天才奇術師チャーリィの孫だったから、というもの。
「それなら仕方ない」と少しほっとしたアンはこれからもジョーイと一緒にチャーリィのマジックを学び続けるでしょう、というやっぱり明るいお話だった。
実をいうと本作今までしっかり読んでなくて今回ちゃんと把握してよかった、と私自身がほっとした。