1970年「なかよし」2月号(1969年11月)
本作『クールキャット』も実はよく目を通してなかったのですが今読み終えて参っています。にゃーん。
ネタバレします。
ここに至るともう完全に「他の少女マンガとは違う」路線としか言えない。
表紙の可愛い女の子デニースが自分の家のポーチで雨宿りしていた猫を家の中に入れたことから大騒ぎとなる。
ママが大の猫ぎらいの上に実は猫が二匹(そっくり)いてデニースのネリ―ブライス一家をかき回していくのである。
ある日有名な声楽家ミスター・グレープルがネリーブライス家を訪問。
素晴らしい歌を披露してくれるはずが二匹の猫が歌に入り込んできて邪魔してしまう。
猫は逃げ出しグレープルは歌を再開するが変な歌を歌うだけだった。
「あの猫のせいだわ」と怒るママ。
ところがミスター・グレープルが突然やって来て「あの猫が忘れられない。あの猫たちは音楽の才能がある。音楽史上に残る歌手にしたい」と二匹の猫を連れ帰ってしまうのだ。
ネリーブライス家には静寂が戻った。
が、デニースは猫たちがいなくなって寂しい。
兄のビーバーと共にグレープルを訪問した。
グレープルは本気で猫たちに歌の指導をしていたが気まぐれすぎてまだ録音はできていないという。
しかしデニースたちがいる前で猫たちは歌い出しデニースはそれを録音した。
が突然ピアノの蓋が閉じてしまい閉じ込められた猫たちはピアノの中で大騒ぎ。
「まだ支払いも終わってないんだぞ」と喚くグレープル氏は飛び出してきた猫たちに引っかかれ猫は逃げ出した。
しばらくしてグレープル氏から電話がありあの録音がレコードとなって売り出されるという。
それがラジオで流れネリーブライス一家は聞き惚れて猫たちに戻ってきてほしいとママも願うのだった。
猫たちは逃げ出したまま戻っていなかったのだ。
ところがネリーブライス一家が外出して帰ってくると猫たちがそれぞれの彼女とその間に生まれた子猫が三匹ずつ合計10匹の猫がソファに座っていたのだった。
猫たち同士が会話をしていたり、突然変異ミュータントだの猫型宇宙人だのという萩尾作品ならではの表現が楽しい。
そしてこの頃から「母親とはそりが合わない」話が表現されていたのだな。
デニースがそんな母親に対していたって冷静というのもおもしろい。