1971年「別冊少女コミック」9月号(1969年8月)
現在ではあまりお目にかかれないであろうアメリカ西部劇。
かつてはTVでもよくアメリカ西部劇映画が放送されていたものです。
ネタバレします。
はい、それでこちらは両親が死んでしまった男女の双子の物語。
ミシェルとボニーがそんな運命をむしろ喜んでいるかのようににっこり明るいのを昔は「健気な」と思ったものだった。
そんな双子はネーブルおばさんに連れられブラボー町の保安官ケネスおじさんの元で養育されることになる。
最初はうんざりしていたケネスだが豪放磊落破天荒な双子を好きになっていく。
とよくあるほっこり話のようだがさすが萩尾望都、ちょっとした隠し味を加えてきてそこがファンにはたまらない魅力なのである。
というのは「動かない時計」エピソード。
ここでも時計がモチーフとなっている。
ケネスおじさんの部屋でミシェルは「動かない時計」を見つける。
ケネスは「ずいぶん昔こいつは棚から落ちて壊れずうっと針は止まったままだった。ところがある日動き出した。一日中動いていた。その日オレの親父は馬車の事故で死んだ。翌日にはまた針は止まっていたんだ。次はオレの番さ。いつかこの針が動き出したらそいつはオレが死ぬ時だ」と双子に話して聞かせる。
そしてある日、時計の針が動き出ししばらくして止まったのである。
萩尾氏お得意のドタバタコメディで可愛く楽しいのだがこの小さなエピソードが入ることで独特の作品になるのだ。