1975年「別冊少女コミック」11月号
シリーズ第13作目。
前作「はるかな国の花や小鳥」の男性版ともいえる内容でありますがこちらはまったく明るい感じです。
ネタバレします。
私的にはこちらも女性でやって欲しかった気もする。
とはいえ仕方ない。
これまで第9作「リデル・森の中」と第10作「ランプトンは語る」でエドガーを追い続ける老紳士オービンがどうしてエドガーを追いかけるようになったかを描いているのだから。
オービンはもともと魔物が好きで伝説やら妖精やらを研究し旅をしていた男だった。霊感を強めようと髪を長く伸ばしていた。
が、男が髪を長く伸ばしているのは嫌がられる時代。思いを寄せていたイゾルデ嬢に求婚しても「あなたが髪を切ったらね」と言われてしまう。
それでもオービンは魔物を選び髪を切らずにいたのだった。
オービンが飛び乗ったバスにエドガーが座っていた。
エドガーはオービンを見て「長い髪だね。あなた人間?」ときく。
「魔法使いさ」と片目をつぶてみせるオービンに「ほんとうだ。あなた魔法使いの目をしている」と答えた。
しかしオービンは髪を切る決意をしていたのだった。
ずっと片思いをしているイゾルデにケイシイ・クレイバスという霊媒師が近寄っているという噂があった。(イゾルデさん、美人なのに変な男ばかり近寄ってくる)
「ここいらで身を固める時だぞ」とも言われオービンは髪を切り薔薇の花束を持ってイゾルデの屋敷を訪問する。
その夜、オービンは編集長とつれだってイゾルデの父親であるジェルソン社長邸で新刊の企画を進めるための話し合いに行く。そこには企画の参加者でもあるクレイバスも来ており美しいイゾルデを争うことになった。
ところがエドガーが飛び入り参加をして会合は混乱する。
イゾルデはオービンに好意を持っていたが6年も待たされたのでちょっとじらそうと企む。
事の成り行きでケイシイ・クレイバスは職業である霊媒を行うことになった。
エドガーに「呼び出してもらいたい人はいるかね」と尋ねエドガーは「妹のメリーベルを」と答えた。
(この時のエドガーの寂しげな表情)
明かりを消し、何も知らないクレイバスは呪文を唱える。
すると、クレイバスの姿がかき消すようになくなったのだ。
驚き騒ぐ人々。しかし彼はどこにもいなかった。
オービンは落ち着き払ったエドガーを見た。
執事が「二階に人影が」というのでオービンたちは二階へと駆け上がる。
が、そこには誰もいなかった。
オービンは慌てて降りてくる。
そこでイゾルデはオービンが持ってきた薔薇の花束を手にして「あなたがバラの花束を持ってきた理由を言って」と呼びかけるのだが「それどころか!クレイバスは消えたんだ。あの子は魔物だぞ」と叫ぶや外へ飛び出していったのだ。
これでオービンはエドガーに魂をさらわれてしまう。
後へと続くのである。
クレイバスがどうなったのか。
イゾルデさんがどうなったのかも気になるところではあるがこうしてオービンは一生をエドガーに捧げてしまう。
魔物だよ。