ガエル記

散策

『Marginal/マージナル』萩尾望都 その6

日本が最初のマージナルとなるのでしょうか。

 

 

ネタバレします。

 

 

 

再び都市へと舞台が移る。

キラはセンターの職員によって助けられアシジンたちも到着した。

 

ゴー博士はカンパニーが地球規模の実験を行っているのだと気づく。

そしてメイヤードはセンター職員が捕獲した少年が「妊娠している」と知らされる。

地球住民に埋め込まれているはずのプレートがなくXXYであり外見は男性だが中身は両性に近い。そして子宮に着床卵が確認された。

 

ベッドから逃げ出したキラをメイヤードが見つけ話しかける。

「きみはイワンとアーリンの子どもだろう?」

しかしキラはそれを否定する。

「イワンガツクッタ。アーリン、ト、エゼキェラ、デ、キラヲ、ツクッタ」

この言葉にメイヤードは驚く。

「助かったのは君だけか?」

これを聞いたキラは炎に包まれる幻覚を見る。

メイヤードは「おまえは助かった。燃えてはいない。やめろ」と叫びながら抱きしめるがキラはそのまま消えてしまうのだ。

 

 

キラはかつてエメラダがいた部屋に現れた。

それを見たエドモスは「誰だ」と問うがキラはそのまま気絶してしまう。

 

メイヤードはキラの写真をゴーに見せる。「誰に見えます?」

「そう・・・アーリンに・・・若い・・・少女の頃」

「キラです」

ゴーはイワンの子どもが生きていたことに喜んだ。が、メイヤードは続けた。

「受胎した少女、それとも少年?アーリンによく似たアーリンがこわがったエゼキェラ因子を持ったイワンの作った怪物」

 

ミカルは父があと20時間で永眠することを知らされ喪服で待機する。

ローニが来てポール(センター職員)とセンターへ行くと告げられ自分も同行する。

 

第12話「夢の子供No.151」

ミカルはふたりと別れ一人きりでセンターを歩き出す。マザを見たいという衝動が起きたのだ。

ところが途中でマルコに見つかってしまう。

慌てて謝るミカルをマルコは引き連れ新しいマザであるハレルヤ=エメラダを見せる。

そしてエメラダは無理に連れてこられマザに選ばれたという暗示を与えられ残りの人生を儀式のほかは眠って過ごすのだという。老いを遅らせるために。

そこでポールがふたりを見つけミカルを引き離し決してこのことは他言しないよう注意した。

ミカルは動揺の中で父の死と対面する。

 

さてここでほぼすべての謎の答えが開示される。

メイヤードは空港のフロウそしてゴー博士を一室に呼びそこでカンパニーとの立体会談を開く。

メイヤードはすべての秘密の開示を要求する。

カンパニーがキラの存在と彼が超能力者だということも知っていながら黙秘していたことにゴーは怒り「人権保護保安局に訴えてやる」と罵倒するがカンパニーは「イワンの研究は遺伝法違反だ」と冷静に答えた。

 

ここでエゼキェラ因子の説明がなされる。

(創作だろうが)モロッコの近くのエゼキェラという孤立した村があり半数は進行性の視覚障害があり同時に軽い感応力が見られた。

(創作だろうが)と書いたが実際にサハラ砂漠に盲目の部族が住んでいるという。

偶然だが最近「BappaShota」チャンネルでこの動画を見ていてその後に本作の再読をしてあまりにもすんなり納得してしまった。


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偶然の出来事に驚く次第。

 

メイヤードは語る。

「どんな人間でも五百億のヌクレオチド、二重らせんの中に潜在的に50から60の異常遺伝子を持っている」

なかなか自然界は遺伝子を完全にコピーしてはくれないものだ。いつも幾つかのミスは生じる。

この因子はかつて原始にインフルエンザか何かの大流行をふせいだのかもしれないし生物の持つ感応力の名残りを留めているのかもしれない」

 

「アーリンの卵は全部で220個。遺伝子の突然変異を誘発するエゼキェラ因子を使って失敗を繰り返しながらなんとか彼の理想の子どもを生みだそうとしたのだ」

エゼキェラ因子を持つのは三千万分の一の割合で存在するという。

そしてメイヤードこそがその一人だった。

 

つまりキラはアーリンとメイヤードの子どもになるのだ。

そのアーリンはカンパニーが保護していた。

アーリンのゴーへの通話はカンパニーにキャッチされ救助を申し出アーリンは承知したのだ。

その後カンパニーは森を爆破した。

 

その頃、エドモスはアシジンとマーゴがいる「ヘビのアナ」を訪れていた。

 

萩尾望都が描いたモロッコの近くのエゼキェラの話がまったくの偶然なのかこの部族の話を知っていたのか(こちらだと思うが)盲目と感応力が共存するという事実。

 

考えることが多すぎる。