ガエル記

散策

『Marginal/マージナル』萩尾望都 その7

 

ネタバレします。

 

 

第13話「ヘビじじいとヘビ男」

アシジン、マーゴはヘビじじいの家でエドモスと会い地下道の地図を渡される。

その時、奇妙な揺れが起きる。

メイヤードはこれをキラの超能力だと判断した。都市のどこかにいると。

「キラを狩りださねば」というメイヤードの言葉にゴーが怒りだす。

ナースタースは「アーリンが子供のことをなんと言ってるか見せて」と指示した。

 

アーリンの映像がこれまでのことを語る。

キラが生まれて16年。4人で同じ一個の人格を共有していた。一人は赤ん坊のままで3人は普通に成長していった。

赤ん坊が4人の脳や心の中心で他は手足だとイワンは説明した。

ひとりの教えると他のふたりも覚えていた。

こどもたちは可愛かった。

自殺した母親のことで苦しんでいたイワンをキラは幸福にした。

私たちは小さなドームの中で暮らしていた。まるで魔法のように幸せだった。

だけどそれは長くは続かなかった。

彼らが10歳を過ぎた頃イワンが言った。

「たぶんもうすぐ自分とキラの子供が作れる」と。

私の子供が私の夫と?

イワンは実験を続けるつもりだった。不妊の地球、不毛の土地でキラが子供を産めるかどうか、イワンの望みは終わりのない限りのない生まれ続ける子供の夢。

そしてキラたちも私に同じ夢を見ようとささやいた。

あの子たちの手が指が私の脳の中をかきまわした。

私は殺される。あの光る眼の怪物に。

あの子らに取りつかれてイワンは狂ったのよ。

 

(ここでアーリンが同じ夢を見てしまっていたらこの物語は生まれなかった。というか別の物語になっていた)

 

これを聞かされたゴーは「アーリンは一時的な錯乱に陥っているんだ。自分の子供じゃないか」と言い出す。(ほんとに善人なのだこの人)

ナースタースはうんざりしてきて「いいのよ、どっちみちプロジェクトは終わらせるんだから」

煩いゴーはメイヤードによって眠らされた。

 

おもしろいなあ。

アメリカ映画だったらやっぱりこの作品の主人公はゴー博士だと思う。

心正しいゴー博士によってマージナルとなった地球に行った親友と思いを寄せていたアーリンを助け出そうとしてこの状況へとなっていくのだろう。

 

メイヤードの爪に仕込まれていた痺れ薬で動けなくなったゴーはマルコによって救助され「ネズを訪ねなさい。私はまだやることがある」と送り出される。

 

キラは時折目覚めながらも眠り込んでいたがたびたび念力を動かし地震を起こしていた。

メイヤードは予断を許さないと感じゴビにいるという超能力者を呼び出させた。

 

再び激しい地震が起きる。

エドモスは図書の家へ急ぎ戻る。

そこにはサキ老とキラがいるのだ。

アシジンたちがその後を追ってはいると自身で崩れた二階の裂け目からキラが牙をむいて唸っていた。

 

第14話「星と炎」

キラと再会したアシジン。

が、キラは「イワンが死んだ」と叫んで幻覚の炎に包まれる。

アーリンの絶望が火となって皆を焼いた、と。

黒い夜空をバックにキラを抱きしめて落ちていくアシジンの構図はやはり『サイボーグ009』のジェットとジョーですよねえ。

 

次の日、市長が亡くなりミカルが新市長になるという報せが町に広がる。

そしてメイヤードのもとに太った超能力者が到着する。

マスターセンザイだ。

 

第15話「狩人」

「新しいマザがたくさんの子供を産んでくれる」という報せはキラを安堵させた。

「もう僕はイワンの為に子供を産まなくてもいいんだ」

アシジンは意味がわからない。

が、ゴー博士はキラが受胎していることを考えぞっとした。キラは望んでもいないのだ。

 

センザイマスターはまず腹ごしらえをしてキラの捜索に取り掛かる。

 

ゴー博士はネズを呼び事態の改善を迫る。

ネズはいつもどおり戸惑い怖れるがゴーは「できるできないじゃない、やらなければならないんだ」と言い放つ。

がその前にアシジン、マーゴ、エドモスが立ちはだかった。

「我々はマージナルの男ばかりの世界の哀れな種なのさ」

 

センザイマスターはそれらを感知していた。