最終巻です。
この内容が3巻で終わっているとはなあ。
本音を言うと「図書の家」の話とかもう少しやってほしかった。あの雰囲気がとても好きだ。エメラダとエドモスの話も。
ミカルの話とか・・・こっちから描くバージョンもありなんだよなあ。
ネタバレします。
第16話「えもの」
波乱の前だが奇妙に穏やかな時間が描かれる。
とはいえエドモスはもう帰らないエメラダを思って怒っている。
以前よりアシジンに心開いて話をするようになったキラだがひとりグリンジャを探しに出る。
しかしそこをセンザイマスターの念力に襲われてしまう。
救けを呼ぶとそこにグリンジャが現れセンザイマスターの方がはじきとばされてしまう。
アシジンのヘビ男が後を追いかけてきた。
が、アシジンがセンザイマスターの念力に捕獲されてしまう。
第17話「アシジンとマルグレーヴ」
アシジンがつかまった。
キラが表に出るとそこにはミカルとローニがいた。
キラは水を口に含んでグリンジャの痛む目に吹きかける。
エドモスがヘビの宿にいると伝えてふたりは去る。
ローニはヘビ男にエドモスの小鳥を渡す。
エドモスはそれがエメラダの鳥と気づき苦しむのだった。
ここでキラは「ぼくはイワンを殺して逃げたんだ」と告白する。
マザ殺しのグリンジャとキラをしてマーゴは「これで父殺しと母殺しがそろったわけだ」という。
うううむ。
どうしても父母を殺しておかずにいられない萩尾作品の呪いを感じる。
ミカルはキラを思い出して「あの子がマザならよかったのに」と微笑むのだが、彼の中でマザがどういう存在なのかまったくわかっていないのだろう。おそろしい。
マルグレーヴであるメイヤードはアシジンの服を調べさせた。その裸体を見て若木のような体に激しく嫉妬する。
第18話「最後の晩餐」
キラはイワンの最期を語る。
それはまるで静かな幸福の時のようだ。
アーリンが逃げてからイワンは不幸になった。
子どもたちだけではイワンを幸福にすることはできなかったのだ。
キラたちはイワンが幸せになるよう酒を注ぎパンを焼き最後の晩餐を開いたのだ。
イワンはシャトルが来て森を焼くことを予言していた。
イワンの飲み物には薬を入れた。彼はそれを飲み安心した笑みを浮かべて眠り込んだ。
静かな時間、このドームもイワンもぼくらも一切の痕跡が消えるのを待った。
ぼくらのうちの誰かが少し怒っていた。
何に怒っていたのか?
突然イワンが飛び起きたのだ。
「逃げろ」
世界は終わったんだ。イワンといっしょに。
じゃあ、
ここにいるぼくはなんだろう?
ここに
目の前にある世界は何だろう?
世界は一度死んだのに僕は生きていて
この作品は異世界もののなかでも特に歪んだ世界なのだろう。
男しかいない世界。
女はマザだけ。
子供は定期的に運ばれてくるという世界。
そしてその世界でキラはさらに異物として産み落とされた。
感情がないはずのキラは次第に感覚をとりもどしてくる。
キラという存在が私たちには共感も理解もしにくいがキラだけが特別なのだろうか。
キラはマーゴに連れ出され革命軍のアジトに着く。
その夜、聖堂に灯りがともった。
新しいマザの目覚めだ。
ネズはゴビにいるマルコと連絡を取るが大任を押し付けられここでも戸惑う。
ミカルが新しいマザ・ハレルヤに会う時が迫っていた。
ここにきて今までかっこいいばかりだったアシジンがメイヤードの手先におちぶれる。
いわゆる拷問にかけられてしまったのだ。
そしてキラもまたマーゴの手先になってしまう。
なかなか簡単に物事は進まない。