ガエル記

散策

『天使のはなし』萩尾望都

1997年「YOU」NO.15掲載

この作品は『あぶな坂HOTEL』の巻末に収録されていたのですがwikiには記載なしだったので1997年の作品だったと知って発表順に記録してきた私としては慌て中ですがやむなくここで記事にします。

萩尾望都作品目録」には小作品として記載されていたのですが。

 

ネタバレします。

表紙の天使がユリの花を持っているのはマリアが純潔でありながら受胎したという意味が込められているのだろうか。

 

表紙まで含めて8pのごく短いお話だ。ドロップアウトした兄貴に代わり期待をかけられた予備校生が妊娠して切迫流産しかけた時に見た夢、という仕組みだろうか。

「どうせ産まないんだもん」という彼女に「子育てやるから産もうよ」と説得するサブローくんと天使は似ても似つかないが目だけが同じ、らしい。

 

1984年に描かれた『天使の擬態』が萩尾マンガ史唯一といっていいくらいわたしは拒否感があるのだが同じく『天使』がつく『天使のはなし』では女性の年齢は同じくらいで長い黒髪というのも一緒だがこちらはどうやら出産する話になっておりなんだかほっとする。13年の時を経てやっと生まれたような感じだ。

男の名前が『天使の擬態』ではシロウで、『天使のはなし』ではサブローである。

やはり意識されたとしか思えない。

まさかそんなことがあるとは予想も想像もしていなかったが救われた気がする。