ネタバレします。
「海の青」
「月刊フラワーズ」2009年7月号
おや前作品とは2年ほどの間があるのだな。
「人魚姫」をモチーフにしてさえない女の子とモテイケメンに置き換えたお話。
おもしろいのはモテイケメンが案外良い奴だったというところかな。
そして現代人魚姫は言いたいことは言って髪を切る。
「スフィンクス メッセージⅣ」
「月刊フラワーズ」2009年10月号
2年前に描かれた「オイディプス」のそれまでの話になる。
予言通りオイディプスは実の父を殺しテバイを訪れる。
しかしテバイではスフィンクスという怪物が夜な夜な出現し赤子を食うため人々は怖れ逃げ出す者もいた。
この時黒の男が現れ「行くな」と助言するがオイディプスは聞かない。
そしてスフィンクスの出す謎を解く。
さらにスフィンクスは胸が張って苦しいのはなぜだ?と問う。
オイディプスは「おまえの乳を飲む赤ん坊はどこにいるのか?殺したのか?喰ったのか?」と問い返す。
スフィンクスは「赤ん坊などいない」と怒る。
オイディプスは「だが胸は乳で張っている」といいそのふくれた乳房にふれる。乳首から乳があふれ出る。
オイディプスはその乳首を吸う。
スフィンクスは乳を吸われ「我が子よ」とオイディプスを抱くのだ。
ハッと目覚めるとスフィンクスの姿はなくオイディプスはひとり横たわっていた。
スフィンクスを退治したオイディプスは知らぬまま実の母であるイオカステと結婚しテバイの王となるのだ。
オイディプスがスフィンクスの謎を解く物語は有名だがスフィンクスが赤ん坊だけを食らい自分の乳が張るのは何故かと問いオイディプスに吸ってもらうというエピソードはたぶん萩尾望都の創作だろう。
というか鬼子母神の物語と絡み合っているようだ。
かつてオイディプスを産んだ母イオカステもまた乳の張りに苦しんだはずだ。
ここでスフィンクスとイオカステが重なるイメージとなる。
ライオス王は自分の死を恐れるあまり息子を苦しめ結局は殺され愛していた妻を息子に寝取られあげくに妻も息子も苦しめてしまうのだ。
ところで最後のコマで黒い男の青い右手が普通の白い手になっている。
これはどういう意味なんだろう。
「水玉」
「月刊フラワーズ」2010年2月号
本作は「シリーズここではない★どこか3」の単行本『春の小川』に収録されているのだけどここで。
いじけているのにとつぜんはじけてしまう舞ちゃんは青いカーテンのせいで落ち込んでしまうのではないかと考え「明るい水玉模様に変えてみよう」と行動を起こす。
「シャンプー」
「月刊フラワーズ」2010年6月号
むしろ戸田ミッチがおもしろい。
彼女の小説は売れるのかもしれない。
「百合もバラも」
「月刊フラワーズ」2010年10月号
40歳の夫婦に3人目の子供ができたら、という話。
なかなか・・・考えてしまう話である。
しかしこれも・・・避妊をしていなかったからの出来事であって、してなかったということはどこかでそういうこともありかなと思ってはいたはずである。
ここでは妻からの提案でお互いが頭を下げて「どうぞお願いします」と言い合うことが「おまじない」だということになる。
出産育児はどうなるのか、予想できない。
なにもかもが未知数だ。
でも赤ちゃんはほんとうにかわいい。
育児も大変だけどこれほど楽しいものはない。
おふたりと赤ちゃんに幸あれと祈りたい。