2014年2月「ヤングジャンプ・コミックスウルトラ」
「美加と境界の神」が読みたく文庫本を購入しました。
が、文庫本は目がつらい。
やむなくデジタル版も購入。ううう。
ネタバレします。
「美加と境界の神」2009年8月号「ウルトラジャンプ」
天木兄妹の美加が登場。
携帯に四方口村にある不思議な大きな藁人形の画像を入れそれを探している。
同じく四方口村で亡くなった姉の謎を解き明かしにきた木戸健人と出会い道連れとなる。
この作品で驚きだったのは「両墓制」だった。
遺体を実際に埋める「埋め墓」「捨て墓」と呼ばれるものと別にお参りするために作られた墓がある、というのだ。
この場合埋め墓捨て墓のほうは土葬と言う形になる、のだが本作ではまさに「捨て」墓なのだ。
この話も諸星氏お得意の創作だと思って笑ってたらこれは事実だった。えええーっ。
とはいえ本作そのものの「遺体を投げ捨てる」方法はさすがにどうなのだろうか。
これもいかにもありそうに描かれているのが気になるがさすがに投げ捨てたままって????
今回初めて読んで初めて知ったので今途方に暮れている。
今後の勉強が必要である。
しかし事実ある両墓制でも本当の遺体はかなりゾンザイに埋められるみたいに感じられる。いやあモラルって時代によって移り変わるものだ。
さて超能力者で怖いものなしの美加ちゃんも今回の「遺体を捨てる坂」に入り込んで動けなくなってしまう。
今回は稗田礼二郎先生がまさしく妖怪ハンター的に登場し美加を救い出す。
が、美加も普通の少女ではない。
最初の目的である「藁人形」の顔をしっかり見届ける。お地蔵さんのような顔をしていたという。
この一篇、私は文庫本購入で読むことができたがデジタル版には収録されていない。
しかしこの一篇は非常に重要な作品なのではないだろうか。文庫本なので読みにくかったw是非デジタル版収録を待ちたい。
2012年11月号ー2013年3月号「ウルトラジャンプ」
「夢見村にてー薫の民俗学レポート」
これがまたおもしろい。
「夢を見る」という点でどうしても萩尾望都『バルバラ異界』を思い出す。
本作は『バルバラ異界』の後で描かれたものだが萩尾『ハルカと彼方』などは以前の諸星氏作品と重なるし「境界」=マージナルというものを描いている作家はやはり似てしまうのか、それとも影響し合っているのか。
とにかく本作の面白さはちょっと尋常じゃない。
一番のお気に入りはキーキーと鳴くおじさん虫だ。諸星先生も気に入ったのかなんども登場してキーキー泣いているwwwちょっとむかつくしwww
くり返し夢を見て現実と夢がわからなくなっていく、という構成も凄く好きだ。
まさにマージナルなのだ。
薫を救ってくれるのは超能力者妹の美加。
夢の中で薫と同じ姿になって身代わりになる。
本作では薫が様々な誘惑をされる。
なんといっても稗田礼二郎におっぱいがついているという夢を見て正夢かどうか実際に胸をさわって試す場面とそれを見て「おにいちゃんBLなの」と言って怒る美加に「いや薫君はシスコンだから」と返す礼二郎先生がおもしろい。
2010年12月号ー2011年3月号「ウルトラジャンプ」
大島&渚シリーズ。
大島君が海のモノに魅入られ渚が救い出した前作「それは時には少女となりて」を経て本来の「呼ばれてしまう」渚に戻っての物語。
今回は人魚が題材となる。
地形から陸の孤島となっている余利集落に生まれ育った後藤カオリは海女になるためのシゴキを受けて逃げ出した。
そこではカリアマとホンアマと言う制度がある、という。
カオリはカリアマになってホンアマになるための厳しい訓練を受けていたのだが、そのホンアマの怖ろしい実態を見てしまったのだ。
ホンアマになる、というのは身体が人魚に変化して海の中に一時間以上潜っていられることだった。
ホンアマはすでに自我を失い単なる漁をするための「鵜飼」にすぎなかったのだ。
さすがにこれは諸星氏の創作だと信じたい。まさかまさか。
今回救ってくれたのは怖れられていた悪魚だった。
というか人間のほうが恐ろしい存在だった。
最後は人魚の姿になった渚を思い返しにんまりとする大島君で締めくくられる。