ガエル記

散策

『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その5

ネタバレします。

 

【第23回 李元吉 牢城に首を検め 李世勣 悟空を押送す】

李世勣によって捕らえられた悟空は李元吉に詰問を受けるが答えず、厳重に押送車に乗せられ長安へ向かうことになる。

李世勣は一足早く長安へ急ぎ悟空の護送はその後に続いた。

これを襲ったのが紅孩児であった。

さらに猿たちが金箍棒を取り返してくれた。

 

長安に到着した玄奘大覚寺へと進む。

 

【第24回 落胎観に六健 聚義し 大覚寺に三蔵 聴講す】

悟空は紅孩児ら劉黒闥の残党に助けられ長安の郊外に潜んだ。

そこは紅孩児の叔父如意真仙の道観だった。

 

悟空は紅孩児の仲間、雲裏霧に連れられ長安の町中を歩く。

そして悟空は皇帝に献上される大熊の腹の中に入って宮城に忍び込んだのである。

とはいえ腹から出てきた悟空は衛兵に取り囲まれるがこれを救ったのが謎の大きな猿であった。

 

【第25回 掖庭宮に 奼女 陽を求め 森羅殿に心猿 怪を知る】

その猿はすぐ姿を消し悟空は宮城を逃げ回る。

が、猿は別の場所で現れ悟空が逃れる隙を作る。

 

ここで登場してくるのが地湧夫人である。

本作で極めつけのキャラクターのひとりであろう。

地湧夫人は悟空を見るなり「かわいい子猿さん」と呼んで抱きついてきた。

そこで宦官たちが賊の捜索と言ってきたので悟空を匿う。

そこは地下道へと続いていて悟空が降りていくとそこには足を切断されたミイラが座っていた。

やがて悟空を呼びながら降りてきた地湧夫人はそのミイラに「子豚ちゃん」と呼びかけながら「いつも通りいいことしましょうよ」とまたがったのである。

「狂ってる」と悟空はつぶやいた。

風を感じて進むと大きな門が見える外に出られたが衛兵たちが駆け回っており悟空は諦め再び地下道に戻る。

地湧夫人の呼び声が聞こえ悟空はさらに別方向へと進むとこれまでに感じたことがないほどの怖ろしい敵意と憎悪が悟空を苦しめた。

やがて禍々しい置物がある空間に出る。

「そこに来られたのは母上か」

呼び声に見上げるとそこにはひとりの童子がいた。

「余はこの森羅殿の主、哪吒太子だ」

 

哪吒!

私は物凄く哪吒好きなのだ。

本作の哪吒はあまりにも変だけどやっぱり好き!

 

【第26回 孫大聖 鄷都を脱れ 袁守誠 八卦を説く】

哪吒太子は「いずれふたりの太子を殺し皇帝をも殺してこの第三太子の哪吒が皇帝になるのだ。余は今森羅殿の王だがやがて地上の皇帝となり、天上の玉帝にもなる。三界の太子だ」と叫び悟空を余の位を盗みに来たと言ってとびかかった。

そして地底で飼っている鰐に悟空を襲わせた。

悟空は危うく逃れ水流に乗ってそのまま流されていった。

 

運河に出てきた悟空を救ったのは易者の袁守誠だった。

袁守誠は悟空が眠っている間に卦をたてて見たという。

おまえの卦の中にもうひとつの卦があるがそれがなにかよくわからない。

その卦は伏龍、天地閉じて賢人隠る。動けば必ず陰陽戦いて血を流す。

悟空はその占いが明確でないと愚痴る。

袁守誠は再び占い普光寺という寺に悟空を連れて行く。

そこには竹が二本生えているのみだった。

悟空は呆れて去っていく。

 

その寺の中では玄奘阿頼耶識の解釈の違いを老僧に訴えていた。

「私は十七地論が見たい」

 

悟空は紅孩児たちが住む道観に戻り一部始終を話す。

運河から宮城の地下へ入ることができるのは判っているが気を失ってしまったため運河のどこからかはわからない。

ところが紅孩児の叔父、如意真仙が堕胎薬を地湧夫人に売っていたことでその地下道の存在は知っていたのである。

さらに皇帝が太子と元吉を召喚したという情報がはいり玄武門から参朝する習わしを利用できると雲裏霧が提案した。

 

同じ頃、通臂公もまた六耳と呼ぶ猿に声をかけていた。

悟空を守るためだ。

 

紅孩児たちはその夜、行動を開始した。