ガエル記

散策

『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その6

ネタバレします。

 

【第27回 六健将 深更に井を潜り 三太子 地底に剣を振るう】

悟空はじめ紅孩児とその仲間はいよいよ宮城へと入り込む。

井戸を降り横穴を通り地下道を抜けて森羅殿へと到着する。

龍と思っていたのは鰐だと気づく。

悟空はこの中に入るとどうしても頭が痛くなる。

そんな彼らに近づいてきたのは三太子の哪吒だった。皆はおかしな子供だと思ったが悟空は怖れる。

如意真仙は宝に目がくらむ。

悟空はそこにある立像にも恐れをなして暴れた。

哪吒は巨霊神を呼び悟空を襲わせた。

が、ここに六耳が現れ悟空を守る。

その隙に雲裏霧は悟空の手を引き逃げ出す。

紅孩児は先を急いだ。

 

その後に続いたのは生き延びていた哪吒太子だった。

 

【第28回 玄武門に太子 難に会い 両儀殿に魏徴 妖を射る】

7世紀中国626年唐代で起きた「玄武門の変」に悟空、紅孩児ら一党の思惑が絡まる。

紅孩児李世民を、悟空は李元吉を仇として討とうとするが歴史は唐の高祖李淵の後継者争いとなる暗殺事件を優先する。

ここで李世民は兄と弟を殺害し李世民は第二代皇帝となる。

仇を討てなかった紅孩児は逃げ出し悟空はそのまま捕らえられた。

その際大猿と変貌していた六耳は魏徴によって射殺された。

六耳は悟空を守ろうとしてではなく自分を可愛がってくれていた快如風を殺されたための怒りからの変化だったのが泣ける。

 

その頃、三太子哪吒は森羅殿の中で悔しさにむせび泣いていた。李世民が皇帝になると聞き地上に出て自分こそが皇帝になると決意する。

 

さらに玄奘は天竺へ行く決意をする。

直接原典を見極めたいという思いはもうどうしようもなくなっていた。

 

 

 

鬧天の章

 

【第29回 太宗戯れて 官を弼馬に封じ 心猿困しみて斉天の名を呼ぶ】

皇帝になるばかりとなった李世民は悟空を引き出し厩番にするとした。

名を「弼馬温」とした。

 

地下道へ逃げていた紅孩児は地上へ出ようと向かってきた哪吒太子の姿に怖気を振るい別方向へ進むとそこに歩けなくなった叔父、如意真仙が助けを求めてきた。

紅孩児はやむなく叔父を殺し上へと出る。

そこは地湧夫人の部屋だった。

地湧夫人は今度は紅孩児の脚を切って弄ぼうとするが紅孩児は必死に「哪吒を皇帝にしたいなら李世民が邪魔だ。オレが力を貸してやる」と言って事なきを得る。

 

玄奘は役人に天竺行きを嘆願するがその願いはかなわなかった。

しかしその思いは意外な方向へ玄奘を運ぶ。

第二皇帝となった李世民は夜な夜な哪吒太子の怨霊に呪われさすがの李世民も苦しんでいた。

宮中の大仏堂に僧侶が呼ばれ祈祷せよという詔が下る。

玄奘が頼みとする法常によって玄奘はその中に加わることになった。

玄奘は直に皇帝にお願いしたいと決意する。

 

地湧夫人は紅孩児に夢中になっていた。

紅孩児は地湧夫人と共に地下道を確かめる。

通りすぎた一つの道は大仏堂の北へとつながっていた。