ガエル記

散策

『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その12

いっかーん。褚悟能の画像になってしまったよお。おんおん。

ネタバレします。

 

【第50回 蘭州城に八戒 三蔵を欺き 観音院に老僧 痴態を尽くす】

八戒こと褚悟能はいまだ追われる身。蘭州に入りたくとも入れない。どうした者かと思案しているところへ玄奘がやってきたのを見てうまく丸め込んでしまおうと考える。

玄奘に話しかけると真面目な彼は同じ志を持つ人だと勘違いして同行する。

頓珍漢なやり取りが続く。

が、悟能は玄奘にくっついてなんとか役人を騙して蘭州の門を通ってしまう。

玄奘が離れた隙に胸から紫金鈴を取り出し振ってみる。

が、音もしない不良品だとすぐにしまった。

しかし紫金鈴の効果は絶大だった。少し振っただけで各地から蝗が集まりだしたのだ。

これで悟空は悟能が城内にいると知る。

悟能もまたいきなり蝗が集まったことから「まさかこれのせいとか?」と勘づく。

この間に玄奘は観音院と言う寺を見つけ悟能と共に泊めてもらおうとする。

 

この観音院の院主はとんでもない人物だった。

まず異常なほど様々に豪華な袈裟を収集しており玄奘にもそれを見せびらかす。

厳格な玄奘は早々に辞退する。

が、院主の趣味はそれにとどまらなかった。

夜中こっそりと女性を本堂に引き入れてそれら豪華絢爛な袈裟を女性の裸体に着せて「女菩薩様」と呼んで恍惚となるのだ。

人目を忍んで観音院に入り込んだ悟空はこの状況を見て呆れかえる。

 

 

【第51回 無明の僧 疑心して暗に謀り 求法の僧 迷妄を解かんとす】

玄奘もまた院主が裸体の女性と戯れているのを見て苦言を呈す。

院主は「どうせあんたも名誉欲で天竺へ行こうとしているのだろう」とぶちまけ玄奘から失望される。

去っていく玄奘の背後で院主はこの失態を見た玄奘を焼き殺そうと考える。

 

ドタバタ袈裟狂いの院主の騒動の中で悟空は玄奘に「なぜ天竺へ行くのか」と言う問いかけをし玄奘はそれに答える。

「世界の正しい姿と人間の正しい姿、迷妄から脱れる道を知るために行くのだ」

これに悟空は心を揺り動かされる。

この場所にも紅孩児は悟空を追ってきた。

悟空が仇のひとりである玄奘と相対しているのにいつまでも殺そうとしないのに焦れて自ら玄奘に襲い掛かる。

悟空はこれを阻止した。

ふたりが争っているのを止めるわけにもいかず玄奘は外へ出ようとすると建物は炎に包まれていた。

紅孩児はひと飛びで脱出したが玄奘はそんなことはできない。

やむなく悟空は初めて意識的に金箍棒に斉天大聖の力を込めて柱に打ちつけたのだ。

建物は壊れ悟空は金箍棒をつっかいにして玄奘と自分の身体を守った。

 

院主のこの悪癖はすでに蘭州中の人が噂するところだと二娘が言うと院主は恥じて自らの頭を壁にぶつけて死んでしまう。

悟空は紫金鈴を持った坊主が玄奘の供だと聞いて訝しむ。

が、玄奘と悟能はすでに出立し姿はなかった。

 

 

【第52回 無支奇 群蝗を呑み 紫金鈴 河中に消ゆ】

褚悟能は玄奘をせかしいち早く黄河を渡ろうと渡し場に来た。

そこでは羊皮筏子が使われていて小さな筏でひとりひとりが乗り込む。

追ってきた悟空は筏を掴むや自ら漕ぎ出した。

続いて二娘は後を追わせる。

 

悟空は悟能に迫り「紫金鈴を返せ」と呼ばわった。

悟能は慌て「ええい。こんなものくれてやらあ」と言うが早く紫金鈴から綿をとる。

するとどこからともなく大量の蝗が集まる。

悟能は「そうら」と紫金鈴を黄河に放り投げた。

 

そこへ金色のイナゴ平天蝗が現れる。黄河はたちまち渦を巻いて大量のイナゴがその渦に呑まれていくのだ。

悟空がそれを見ていると紅孩児が、さらに黄袍が後を追いかけてきた。

二娘の叫び声に見ると金のイナゴ平天蝗がほかのイナゴたちに食い殺される。

さらに悟空が驚いたのは黄河の渦の中から斉天大聖が現れたのである。

 

大聖は悟空に語りかける。

「見たか。平天蝗が自ら呼び集めたほかのイナゴたちに食い殺されるのを。あの金のイナゴはおまえと同じだ。やがておまえも怒り狂った人間を無数に集めるだろう。だが気をつけるがよい。ひとつ間違えばおまえもあのようになるのだ」

「そんな宿命は変えてやる」と悟空は答えた。

悟空のからだは渦から放り投げられ黄袍の前に飛ばされた。

黄袍にうちかかる悟空。あわや黄袍は身をかわし黄河に落ちて筏にすがる。

二娘もまた河に落ちてしまうが悟空がそれを救い流された。

 

玄奘の悟能はいち早く向こう岸にたどり着く。

 

 

 

黄風大王の章

 

【大53回 河西路に八戒 怪を負い 烏鞘嶺に小風 功を急ぐ】

 

悟空の二娘はかなり下流まで流された。

陸に上が竜王廟で服を乾かす。

そこで悟空は「なぜ紅孩児が追ってきたのか」と気づく。

 

そう、紅孩児は仇の玄奘を殺そうと今にも追いつかんとなっていた。

あわやというところで現れたのが恵岸であった。

恵岸は玄奘を先に行かせ紅孩児と戦う。

 

玄奘と悟能の前に商人の一行がありふたりが追いつこうとした途端凄まじい黄砂が吹き荒れた。

次の瞬間見ると商人一行は何者かに襲われ皆殺しになっていたのだ。

 

悟空たちも黄砂によって迷う。

そこで旅芸人の一座に出会うのである。

彼らは関中の飢饉を逃れ蘭州に来たものの難民ばかりでさらに涼州まで行こうとしているという。

それがここで黄砂に巻き込まれてしまったのだ。

旅芸人たちは親切に悟空たちを迎え入れた。

 

玄奘と悟能は行く先で通臂公と出会う。

通臂公は悟能におぶさり旅を続ける。

 

悟空たちを加えた旅芸人一行は烏鞘嶺にたどり着く。

ここで彼らが怖れていた盗賊黄風大王が登場した。

が、悟空はたちまち賊を倒し黄風大王の息子小旋風を捕らえてしまう。