ガエル記

散策

『西遊妖猿伝 大唐篇』諸星大二郎 その15

ネタバレします。

 

【第59回 驕りて城門にいのちを落とし 黄風 死児を冥婚させんとす】

 

李都督は野盗ふぜいが涼州を襲ったことに苛立つ。

黄袍は負傷していたが牢から救い出された小旋風が門を出る寸前、手下どもの目が離れた隙を狙い殺してしまう。

大王の息子の死に驚く手下どもに聞こえるよう「小旋風を殺したのは弼馬温だ」と言い放った。

傷を負わせられた黄袍の小さな復讐だった。

 

大王の息子小旋風が殺されたとなっては大王に会うことも出来ないと右旋風は馬を駆り涼州へと向かった。

ところがそこに突如として李勣が現れ右旋風は倒されてしまう。

右旋風の口から「弼馬温」という言葉を李勣は聞いた。

 

天竺楼の遊女たちは黄風大王のもとへと運ばれる。

喜んだのも束の間、息子小旋風の遺体が運ばれ大王は怒る。

殺したのは弼馬温孫悟空だと聞き黄風大王は復讐を誓う。

 

黄風大王のもとには旅芸人たちとともに玄奘も捕まってきていた。

大王の手下たちは悟空の居場所を聞き出すため脅しをかける。

玄奘はやむなく「悟空の居場所なら私が知っている」と答えてしまう。

 

大王自身は息子小旋風の遺体を棺に寝かせ「冥途の連れ添いにするがいい」と言いながら二娘をその棺に入れようとした。

そこへ悟空が飛び込んでくる。

 

ここから悟空は自分の力を引き出すのは何かと考え始めていく。

いわばこの黄風大王は悟空が能力を自在に操るための捨て石となるわけでお気の毒だ。

ここにも紅孩児は現れる。

 

黄風大王はさらに悟空の能力を引き出すための最高のお膳立てをしてしまう。

旅芸人たちと玄奘を磔にして殺すぞと脅すのだ。

大王の配下は五百人はいる。

悟空ひとりで五百人を倒せるか。

悟空はこの時斉天大聖の力を引き出せばその可能性はあると考え大王に対し自分と引き換えに皆を放してくれと取引する。

大王は行く先で殺す手はずの上で芸人と玄奘を放す。

悟空は恵岸行者が持つ李軌と玉女が閉じ込められた壺によって斉天大聖の力を引き出させる。

恵岸行者が玄奘を救うためならなんでもやることを利用する。

このあたり悟空の狡賢さがよい。

 

通臂公は悟空の成長が嬉しいところか。