ネタバレします。
【第67回 方相 市を鬧がして蛮力を誇り 李靖 花を摘まんと鸚鵡を贈る】
狼頭堡で玄奘を捜しまわる悟空は百花羞を見かけその家を訪ねる。
そこに悟能がおりさらに百花羞目当てに来た李靖とお嬢様を守ろうとする石方相が入り乱れて大騒ぎとなる。
【第68回 同君 畫より出でて車輪を飛ばし 両雄 大いに狼頭堡を鬧ず】
李靖将軍、弼馬温=悟空に腹立ちが収まらないが突厥が竜牙堡のすぐ近くまで来ているとの報せを受け出兵することになる。
待機する部下に弼馬温捜索を命じた。
道整は忙しい車屋の女将に子守を頼まれおんぶすることになってしまう。
そんな道整に声をかけたのが悟空だった。
悟空はついに玄奘の居場所を見つけて開口一番「おれは天竺へ行くぞ」と言い放つ。
「あんたと一緒に天竺まで行ってやる」
側にいた悟能、道整、恵岸までもが驚いた。
しかしここで悟空は突如金環の痛みを覚えた。
「こいつか」
悟空はさっと悟能の包みを開く。
そこからまろび出たのは人参果だった。
その時壁にあった絵画から笑い声が響く。
絵の中に描かれた人物が「わしの人参果を返してもらおう」と言ったかと思うとするりと抜け出てきたのは与世同君だった。
「初めからぐるになってわしの人参果を狙っておったのだな。もはや問答無用。みんなまとめてわしの術の餌食にしてやる」
悟空は「ここで決着をつけるか」と飛び出した。
たちまち二人は戦い始める。
このすきに悟能は人参果を集めて道整をせかして逃げ出そうとする。
この時長い腕が伸びてきて人参果の入った包みを取ったのは通臂公だった。
それを与世同君が追いかけそれを悟空が追いかける。
あばら家はたちまちのうちに壊れ落ち玄奘たちも逃げ出した。
車屋に置かれている大量の車輪が与世同君の術によって転がり始める。
通臂公はこの隙にと包みを開いて人参果を食おうとした。
「ふぎゃあ」と泣きだしたのは本物の赤ん坊だった。
いつの間にか車屋の女将の赤ん坊が包みの中に入り込んでいたのである。
道整が「赤ん坊を返さなきゃ」とおんぶをおろしてみると「赤ん坊が干からびてる」
腰を抜かす道整から人参果を取り戻し悟能は「赤ん坊はおいらが返しておいてやるよ」と言う。
通臂公は慌てて赤ん坊を女将の前に置いて逃げる。
車輪は転がり悟空と与世同君の戦いは続く。
「天竺へ行く?」とつぶやいたのは紅孩児だった。それで坊主の後を追いかけていたのかと気づいた紅孩児は早く玄奘を殺しておくべきだったと悔やむ。
与世同君の術は車輪を転がし続け悟空はその術を潜り抜けて戦う。
しかし与世同君の術は凄まじかった。
城楼に登ったかと思うと追いかけてきた悟空をその床にめり込ませてしまったのだ。
与世同君は袖の中に兵士たちを吸い込む。
さらに軍隊が動き始めたので与世同君は自分自身も自分の袖の中に吸い込まれて消えた。
悟能は玄奘と逃げながら黄袍に家に向かわせる。
だが軍隊が出動し悟能は黄袍に家に近づくのは無理だと思い向きを変え恵岸行者と待ち合わせする西門に急ぐ。
しかし悟能が向かったのは北門であった。
恵岸行者と会うわけもなく町から出ることになる。
そして悟空は軍馬に乗り込み城壁からひらりと飛び出してしまった。
【第69回 扶桑夫人 砂漠に幻化し 阮兄弟 暴虎馮河す】
馬に乗って砂漠へ出た悟空は突如女性が現れたのを怪しむ。
やはりその女は与世同君とつながる扶桑夫人の胞子から発芽した者たちだった。
枯れる前に悟空に幻を見せてひとこと苦言を呈したかったらしい。
それを振り払った悟空はしつこく追いかけてきた阮暴虎から再び逃れるため馬を駆る。
しかし軍隊と出会い身を隠すことになる。
それでも玄奘は進むことをやめなかった。
悟空は行く先でまたも阮軍に出会い戸惑う。それは阮暴虎の兄阮馮河の軍隊だった。
悟空は早とちりで阮馮河に襲い掛かる。
気づいた時には兄弟から挟まれて戦うことになるが突厥集団が現れ危機を逃れた。
悟空は偶然阮馮河を襲ったことで突厥の若者を助けてしまったために起きた出来事だった。
一方玄奘たちは砂漠で夜を過ごすことになり彼らも扶桑夫人の胞子の精に苦しめられる。
そこへ駆けつけてきたのが悟空だった。
悟空は胞子たちを一刀両断し玄奘に告げる。
「言ったろう。一緒に天竺へ行くってな」
【第70回 悟空 暴虎して戦場を走り 玄奘 馮河して行路を拓く】
玄奘と合流した悟空は早く立ち退いた方が良いと告げる。
明るくなって周囲を見渡し一行は驚く。
過ごした場所は片方が突厥、片方は官軍が陣取る真ん中であったのだ。
官軍には悟空を恨みに思う将軍たちが幾人もいる。
悟空たちは二頭の馬に分乗しこの危機を駆け抜けることにした。
たちまち阮兄弟、そして李靖将軍らが悟空に気づき軍を走らせる。これに気づいた官軍は動き出した。李勣も発動する。
悟空たちが疾走するのを守るように追いかけてきたのが昨日助けた突厥の若者が率いる集団だった。
悟空たちはなんとか戦場を駆け抜け逃げ切ったのである。